「囲い込みや裏切りをしない誠実さ」を信念に brightwayが目指す理想のブランドは?
菊地(マクアケ) Makuakeでプロジェクトを数回実施する中で、企業やブランドとして共感を得るために意識したことや、工夫されたことはありますか?
上田(インターナショナルシューズ) Makuakeは、まだ世に出ていないものを画面の中にある写真だけを見て購入するか判断していただく売り方で、まさにそれが「応援購入」の醍醐味だと思っています。
しかし、brightwayの場合、2万円から3万円ほどする商品を実物を見ずに購入していただくことになるため、こうした行動に対して良い商品を届けるだけでなく、感謝を表現するために自分たちができることは何かと常に考えてきました。
そこで思い出したのが、過去に私自身が買い物をした際に、直筆の手紙をもらった体験です。その手紙を見て温もりが感じられて良いなと思うと同時に「せっかくなら、またこの人から買いたい」という気持ちになりました。こうした体験を自分のブランドにも生かしていこうと思い、手紙を書いて感謝の気持ちを伝えることにしました。
菊地(マクアケ) 2020年にブランドを立ち上げて、既にbrightwayにも多くのファンがいらっしゃると思います。今後、ブランドとしてどう成長していきたいですか?
上田(インターナショナルシューズ) ブランドの立ち上げ初期は、創業者の熱い想いが伝播してコアなファンを増やせますが、ある程度規模が大きくなるとその想いが伝わりにくくなり、純度が落ちる瞬間が必ずあると私は思っています。
これはどの企業やブランドも避けられないものだと考えていますが、100%だった純度が下がる中でも絶対に落としてはならないラインやポイントがあるはずです。そこをしっかり守れれば、ナイキやApple、スターバックスのようなブランドを築けるのではないでしょうか。
菊地(マクアケ) 上田さんが考える「ブランドが絶対に落としてはならない純度のラインやポイント」は、どこにありますか?
上田(インターナショナルシューズ) ブランドとして、ぶれない哲学や思想をもつことです。このラインやポイントを一歩でも踏み間違えると、今まで積み上げてきたお客様との信頼関係が一気に崩れてしまいます。なので、それは絶対にやってはいけないことだと思っています。
売上などのわかりやすい数字が目に入り、つい誘惑に負けて飛びつきたくなる瞬間もゼロではありません。しかし、常に初心にかえって、いかにブランドの哲学や思想をずらさずにいられるかが非常に大事なのだろうなと感じています。
きっと、brightwayが一定規模まで成長したら「昔のbrightwayのほうがよかった」といって離れていくお客様も一定数はいるでしょう。軸がぶれてそうなるのは良くないですが、私はブランドとしてのステージやお客様のライフステージが変わったことで一定の入れ替わりが起きるのは健全なことだと捉えています。むしろ、ブランド側が勝手にお客様を「ロイヤルカスタマー」と定義して、無理やり一生囲い続けるほうがお互いにとって良くないことだと思うんです。
ただ、私たちが一つだけ絶対に守らなければならないのは、「お客様を裏切るような行為をしない」ことです。極端な例ですが、たとえばbrightwayがブランドとしての軸を見失って目先の利益に走り、急に低単価の商品をたくさん販売するなどといったことはご法度だと思っています。手法の良し悪しの話ではなく、これまでbrightwayを信じてくれていた方に対してきちんと向き合い続けるためにも、こうした行為は絶対にしてはいけない。しっかりと信念をもってブランドを運営し続けることで共感につながる心地良さが生まれ、最終的には応援したくなるブランドとしてファンがついていくのではないかと感じています。