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ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

事業成長に欠かせない「ファンづくり」の教科書

5回の応援購入実施、ファンの声を聞く中でbrightwayが気づいた「ブランド成長の必須項目」とは

 2020年に始まったコロナ禍は、EC業界の盛り上がりを後押しした。経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2019年に6.76%だったEC化率は、2023年には9.38%と着実に上昇している。市場が大きくなり競争も激しくなる中、命運を分けるポイントの一つとしてファンとの関係性づくりをうたうのが、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を展開する株式会社マクアケだ。本連載では、マクアケでプロジェクト推進本部 執行役員を務める菊地凌輔氏が、「ファンとの関係性づくりの大切さやヒント」を紹介する。第4回は、2020年に自社ブランド「brightway」を立ち上げ、Makuakeのプロジェクト実行を通して様々な学びを得た株式会社インターナショナルシューズ 専務取締役の上田誠一郎氏に、ブランドのファンを増やす上で必要なことについて話を聞いた。

前回の記事はこちら

国産素材でこだわりのものづくりに取り組むインターナショナルシューズ

株式会社インターナショナルシューズ 上田氏のMakuakeページ

 株式会社インターナショナルシューズは「10年後も愛される1足を」をコンセプトに、シンプルなデザイン、ソール交換ができるリペアサービス、国産素材を使用したものづくりを特徴とした老舗靴工場。2020年に初の自社ブランド brightwayを立ち上げMakuakeからデビューし、これまでに5回のプロジェクトを実施している。

自分をN1として本当に欲しい商品をつくったら道が開けた

菊地(マクアケ) インターナショナルシューズは、前出の自社ブランド brightwayを立ち上げた後、Makuakeで5回のプロジェクトを実行し、着実にファンを増やしています。改めて、同ブランドが生まれる前の状況から教えていただけますか?

上田(インターナショナルシューズ) 私が、当時働いていた企業から家業であるインターナショナルシューズに戻ったのが、2015年のことです。当時、レディースシューズブランド2社のOEMを手がけていたのですが、それだけでは厳しいと感じていて。オリジナルの商品を開発し、そこに込められた想いを自分たちの言葉で届けていくべきではないかといった意識が芽生えていました。

 そこで一度、レディースシューズのブランドを立ち上げることにしたのです。ただ、結果的には大失敗に終わりました。そもそも、ブランドを立ち上げる上で必要なブランディングやビジュアルの見せ方、MD構成などが全然わかっておらず、自分たちがつくりやすいものをつくって、それを買ってくださいといった状況で。商品に魂や情熱を込めきれていないまま、とりあえずつくって出してみる状態になってしまっていました。

 もちろん、当時の自分たちなりにベストを尽くしたつもりではあったのですが、それではうまくいかないことを痛感させられて……そこから私自身が本当に欲しいと思えるものをつくり、きちんとブランドとして価値を届けられるようにしようと思い、2020年に立ち上げたのがbrightwayです。

株式会社インターナショナルシューズ 専務取締役 上田誠一郎氏
株式会社インターナショナルシューズ 専務取締役 上田誠一郎氏

菊地(マクアケ) Makuakeで初回のプロジェクトが実施されたのは、2020年3月だったかと思います。そこにたどり着くまで、どの程度の試行錯誤をされたのでしょうか。

上田(インターナショナルシューズ) 当時は必死すぎて、全然記憶がないですね(笑)。2019年から開発を始め、つくり直しは20回から30回ほど行ったはずです。

 Makuakeでプロジェクトを実施した初回は、商品として販売できる状態ではあったのですが、今振り返ってみると、brightwayというブランドとしての完成度は50%ほどだったように思います。もちろんこれは悪い商品を販売したわけではなく、まだレディースシューズの延長線上でものづくりをしていたなという意味での評価です。brightwayの商品開発を通して、当社は素材選びなどを含めたメンズスニーカー用のものづくりを学びました。

菊地(マクアケ) 初回のプロジェクトでは、上田さん自身をN1(一人の顧客)と設定して商品開発に取り組まれたと聞きました。実際のところ、商品を購入するお客様の顔は開発前から見えていたものなのでしょうか。

上田(インターナショナルシューズ) 私は「きっとこういうお客様は購入してくださるだろう」と、なんとなくの像は見えていました。また、自分が本当に欲しいと思えるもの、かつ100%納得できる商品であれば、絶対に大丈夫だと確信ももっていました。

 実は、私自信が欲しいものを形にするプロセスは、シューズづくりをする中で初めての経験でした。これまではデザイナーから指示されたものをつくるだけで、お客様が本当に喜んでいるのか、実際にシューズを履いた方がどんな感情を抱いてくれているのかといった像が見えないまま、充実感に欠けたものづくりをしていたのが正直なところです。

 その点、brightwayでは自分が欲しいものを形にするところから始まり、それを求めてくれるお客様の実態も把握できます。だから、非常にうれしかったですね。

brightwayの靴づくりの様子

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「言葉に想いは宿る」と信じて前進 プロジェクトと顧客が教えてくれたこと

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この記事の著者

新國翔大(ニイクニ ショウタ)

ライター/編集者。1991年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、U-NOTE(ユーノート)にてライティング業務に携わる。2015年5月にサムライトに入社。多数のオウンドメディアのコンテンツ制作を行う。2016年7月にBASEに入社。2017年2月よりフリーランスのライター、編集者に転向し、ウェブメディア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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