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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

日本の「買物」はどう変わる?~トレンドから読み解く今までとこれから~

カート設計からライブコマース、UGC活用のヒントまで 買物欲を刺激するEC施策の考え方を伝授

 「売るを買うから考える」という言葉をスローガンに、2003年よりショッパーマーケティング領域で活動を開始してきた博報堂買物研究所。単なる博報堂の社内シンクタンクとしての役割だけでなく、ソリューション開発やショッパーインサイトを基点とした得意先企業へのマーケティング支援など、幅広く活動を続ける同研究所は、20周年を迎えて以降も積極的に研究プロジェクトを進めています。本連載では、約20年の歴史と知識を踏まえながら「買物トレンド」について解説。第3回は博報堂買物研究所が発表した「買物欲を刺激する20のツボ」をテーマに、eコマースで買物欲を刺激するための体験設計について解説します。

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令和の消費者はどんな“買物欲”を有しているのか?

垂水(博報堂買物研究所) 博報堂買物研究所(以下、買物研)では、2007年に「買物欲」という概念を提唱しています。私たちは「買物=『いいものを手に入れたい(モノ欲)』+『いい買物体験をしたい(買物欲)』」と分解して考え、方程式を作りました。

 現代の世の中には良い商品が多く、機能価値だけでは差別化が難しくなっています。また、各社のマーケティング活動も素晴らしく、情緒価値だけでも差別化が難しくなってきていると感じます。そんな中で、生活者が買いたいと思うかどうかは「買物体験の良さ」でこそ差がついてくるのではないでしょうか。

 買物研が最初に提唱した「買物欲」から約15年がたち、テクノロジーの進化やコロナ禍を経て、生活者の買物体験は大きく進化しています。そこで、買物研の20周年を機に改めてとらえなおしたのが、今回発表した「令和の“買物欲を刺激する20のツボ”」です。

買物欲とは
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山﨑(HAKUHODO EC+) この15年でEC通販もかなり普及しています。特にコロナ禍に急成長し、リアル店舗とeコマースを上手に使い分けて買物する生活者が増えました。

 eコマースはリアル店舗の買物に比べると、口コミを見たり様々な商品と比較検討したり、あらゆる情報を調べて納得してから買うため、衝動買いよりも理性的な買物が多いと思われがちです。その側面も正しいのですが、たとえばSNSの進化により、ライブコマースなど衝動的な買物を誘発する新しい買物体験が生まれています

EC通販の普及
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垂水(博報堂買物研究所) 今回、買物研では買い場の変化、情報取得の変化などを深く洞察するために、「買物欲大調査」と銘打って様々な調査を行いました。具体的には、買物シーンの写真を大量に集めてインサイトを分類したり、大手出版社の元編集長の方々に事前にインタビューしたり、SNS全量データの分析を行ったりしています。

 加えて、大手小売企業のバイヤーの方々にも、取材を行いました。生活者の生の声を集めることを意識し、生活者に直接N1インタビューも実施しています。これらのリサーチ結果を、延べ1万シーンにわたる定量リサーチで検証しました。その結果、「令和の“買物欲を刺激する20のツボ”」が見つかったのです。

 これらを読み解くことで、「買物欲のコントロール方法」と「買物欲を刺激する方法」という二つの観点が見えてきました。前者は、買いたい気持ちを増幅させる「BOOSTタイプ」と、買いたい気持ちが流れないように維持する「KEEPタイプ」という二種類のツボが、後者は感情に訴えかける「LOVEタイプ」と、理性や理由で訴えかける「REASONタイプ」の二種類が存在します。それぞれをかけ合わせると、次の四つのタイプに分けることが可能です。

BOOSTタイプのツボ

  • LOVE&BOOST:“買いたい”を“盛り上げる”
  • REASON&BOOST:“買ってもいい”を“盛り上げる”

KEEPタイプのツボ

  • LOVE&KEEP:“買いたい”を“維持”する
  • REASON&KEEP:“買ってもいい”を“維持”する 

 本記事では、この中から、EC購買体験と関係の深いツボを二つピックアップして、どのような設計が大切なのかを深掘りしようと思います。

買物欲を刺激する20のツボ
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この記事の著者

博報堂買物研究所 所長 垂水友紀(タルミ ユキ)

2016年博報堂入社。商品マーケティング&コミュニケーション戦略から、事業計画やビジネスモデル構築まで幅広く手掛ける。特に、ヘルスケアやビューティー分野の担当を多く経験。女性インサイト発掘に精通し、そこからの新規事業、新ブランドの立ち上げの構想から実装まで従事。2022年4月~現職。生活者の買物体験...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

HAKUHODO EC+ 山﨑恭嗣(ヤマザキ ヤスシ)

通信販売会社、通信会社を経て、博報堂に入社。通信販売会社では、MD・海外生産地開拓を行う。通信会社では、ECモール・ライブコマースのサービス立ち上げから事業戦略・実装までEC領域全般に携わる。博報堂では、「HAKUHODO EC+」に所属し、ビジネスディベロップメントディレクターとして事業戦略から実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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