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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

日本の「買物」はどう変わる?~トレンドから読み解く今までとこれから~

口コミ重視もネタバレOKも損失回避のため? 現代の生活者が重視するツボを博報堂買物研究所が大解剖

 「売るを買うから考える」という言葉をスローガンに、2003年よりショッパーマーケティング領域で活動を開始してきた博報堂買物研究所。単なる博報堂の社内シンクタンクとしての役割だけでなく、ソリューション開発やショッパーインサイトを基点とした得意先企業へのマーケティング支援など、幅広く活動を続ける同研究所は、20周年を迎えて以降も積極的に研究プロジェクトを進めています。本連載では、約20年の歴史と知識を踏まえながら「買物トレンド」について解説。第4回は、博報堂買物研究所が発表した「買物欲を刺激する20のツボ」をテーマに、ソーシャルリスニングに強みを持つTBWA HAKUHODO内の65dB TOKYO(以下、65dB)チームとともに、買物の「未来の兆し」やECにおける「買いたい気持ち」を作る方法について解説します。

前回の記事はこちら

N1レベルの声も実は大きなニーズかも? ソーシャルリスニングの重要性

橘田(TBWA HAKUHODO) まずは、65dBについて紹介したいと思います。65dBはTBWA HAKUHODO内のチームで、ソーシャルリスニングを通じて顧客の潜在的なニーズに耳を傾けることで、顧客に共感されるブランドづくりやマーケティング支援を強みとしている組織です。

 昨今の日本では、普及率が80%を超えたSNSの影響を受け、商品やブランドをどう活用するかの主導権が生活者側に移りつつあります。こうした時代背景を踏まえ、私たちは「どんなモノが求められているのか」「なぜ買われているのか」といった生活者の本音に耳を傾け、カスタマーセントリックにマーケティングの課題解決を実現したいと考えています。

 その上で、私たちがなぜソーシャルリスニングを取り入れているのかというと、ポイントは二つあります。一つ目は、企業の依頼によって行うアンケート調査と異なり、忖度のない生活者の「本音」が集められる点、二つ目は他プラットフォームのデータよりもリアルタイム性が高いため、発話されるデータを感情や行動まで定量・定性双方から分析することで、いち早くマーケットの兆しを捉えられるという点です。

 実際、N1レベルでしか話題にされていない小さな変化も、実は多くの人が潜在的に望んでいるインサイトだったというケースが存在します。そのため、まだ世の中のトレンドや話題にはなっていないこうしたインサイトも私たちにとっては大切です。もし早期にこうした発見ができれば、ブランドの成長を加速できると考えています。

河野(博報堂買物研究所) 今回、「令和の“買物欲を刺激する20のツボ”」を見つけるための調査の中で、生活者のリアルな声を長期的な広い視点から集めたいと考え、私たちは65dBと一緒に研究を進めました。

 同調査で見つけた買物欲のツボを実際の買物現場で生かすには、「兆し」が重要です。ソーシャルリスニング時には、買物欲のツボ一つひとつに対して細かなキーワード設定を行い、それぞれの発話量を定量的に見た上での「伸び」に着目しました。

eコマース、リアル双方で買物欲を刺激するツボは何か

河野(博報堂買物研究所) 令和の“買物欲を刺激する20のツボ”は、前回の記事でも紹介したように大きく二つの観点で分けられます。

BOOSTタイプのツボ

  • LOVE&BOOST:“買いたい”を“盛り上げる”
  • REASON&BOOST:“買ってもいい”を“盛り上げる”

KEEPタイプのツボ

  • LOVE&KEEP:“買いたい”を“維持”する
  • REASON&KEEP:“買ってもいい”を“維持”する
買物欲を刺激する20のツボ
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買物欲を刺激する20のツボ
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河野(博報堂買物研究所) 今回、ソーシャルリスニングの結果をeコマースに絞って買物欲のツボと発言量の伸びの関係を分析したところ、次のような順番であることがわかりました。

  1. 利他・社会性
  2. 信頼感
  3. 限定感
  4. 偏愛性
  5. ストーリー性
  6. 驚愕・非日常
  7. 損失回避

 特にeコマース特有の伸びを見せていたのが、KEEPタイプに分類される「信頼感」「損失回避」と、BOOSTタイプの「利他・社会性」「限定感」「驚愕・非日常」です。eコマースでもリアルでも「偏愛性」「ストーリー性」は共通するツボとして挙げられていました。この結果を踏まえて、各ツボの考察や今後の施策のヒントをお話ししたいと思います。

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この記事の著者

博報堂 買物研究所 マーケティングプラナー 河野美咲(コウノ ミサキ)

外資系消費財メーカーを経て、2023年博報堂入社。リブランディングのための包括的なリサーチや、未来創造に向けたショッパーインサイトの発掘など、幅広いテーマの調査研究および、ショッパーマーケティング領域のソリューション開発を担う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

TBWA HAKUHODO 65dB TOKYO Brand Strategist 橘田幸之佑(キッタ コウノスケ)

デジタルエージェンシーにてUIUXのプランナー・プロデューサーとして20社以上のデジタルコンテンツ制作を手がけた後、2018年TBWA HAKUHODOに入社。現在は65dBのBrand Strategistとして分析から戦略立案といったコンサルティング業務に加え、話題化を目的にしたキャンペーンプラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

TBWA HAKUHODO 65dB TOKYO Insight Strategist 増田実紗(マスダ ミサ)

2020年 65dB TOKYOにジョイン。デジタルマーケティングにおける企画、運用、分析業務の知見、経験を活かし65dB TOKYOでは健康飲料、キャラクター、生活用品等多領域のソーシャル施策立案から分析リードまで幅ひろく担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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