実験から実用段階に移る生成AI 発表内容からわかるGoogle Cloudの狙いとは
Google Cloudの年次イベント「Google Cloud Next '24」は、2024年4月9日から11日の3日間で開催されました。Adobeと同じ米国・ラスベガスで行われましたが、会場はMandalay Bay Convention Center。ストリップ通りを2km弱進んだところにあるコンベンションセンターでした。
Google Cloudは、IaaS(Infrastructure as a Service)ではAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureにつぐ三番手。元OracleのThomas Kurian氏が2019年にCEOに着任し、弱いとされるエンタープライズに注力してきました。2023年第1四半期に初の黒字化を報告するなど、その効果が出始めています。
2024年のイベントのテーマは「The New Way to Cloud」。「Cloudに向かう新しい道」といったところでしょうか。チップレベルでは初のArmベースのカスタムCPU「Google Axion」などの発表があり、アプリケーションレベルでは、生成AIプラットフォーム「Vertex AI」を強化。AIエージェントを構築する「Agent Builder」が加わりました。モデルを選択できる「Model Garden」、モデルを構築する「Model Builder」を使って、ニーズに合わせてカスタマイズしたAIのサービス「AIエージェント」を構築できるというものです。
Kurian氏は「生成AIは実験段階から実用段階に移り始めている」と述べます。今回の発表から、AIを活用したサービスを容易に構築できる技術やサービスをいち早く提供することで競争優位性につなげたい。そして、現在のAWSとMicrosoft Azureの牙城に切り込みたい、というGoogle Cloudの狙いが見受けられました。
同イベントは例年、本社近くのカリフォルニア州サンフランシスコで開催されてきました。今回、ラスベガスに場所を移した理由の一つが来場者が増えたため。サンフランシスコは物価が高く、会場近くのホテルも割高ですが、ラスベガスであればキャパに対応しつつコストを抑えられると考えての判断だったようです。
なお、サンフランシスコからイベントを移す動きは他社でも見られています。たとえば、Oracleは2022年よりイベントの開催地をラスベガスに移しました。サンフランシスコはコロナ禍以降治安が悪化し、参加者からの苦情が多かったといった声も聞いています。
しかし、ラスベガスは日本からの直行便がなく、サンフランシスコと比べるとアクセスのしづらさが難点です。個人的には、会場から少し歩くと街や人々の様子を感じられるサンフランシスコの復権を望んでいます。