多くのテック企業が買収・体制変更など変化の渦に
コロナ禍には好業績を収めたテック企業ですが、その後はレイオフの発表が相次ぐなど、いわばローラーコースター状態にあります。今回紹介するSplunkはCiscoに、VMwareはBroadcomに買収となり、独立した企業として参加するのは最後になりそうです。
新CEOが登場 初のハードウエアも登場した「Splunk .conf23」
Splunkの年次イベント「Splunk .conf23」は2023年7月17日~20日、例年通り米国・ラスベガスでの開催となりました。14回目となり、集まったのは約5,000人です。
「企業がレジリエンスを獲得するためのパートナーがSplunkだ」
こう述べたのは、2023年3月にSplunkのCEOに就任したGary Steele氏です。同氏にとって初の.conf基調講演のステージとなりました。
レジリエンスとはハイテク業界でよく使われる言葉ですが、日本語にすると「回復力」「耐久性」となります。Steele氏は、「問題が発生した際に何が起きているのかを理解して直ちに対応できること」と説明しました。
Splunkはオンプレミスからクラウド、ログ管理からオブザーバビリティ、セキュリティへと、事業モデルの変換やテリトリーの拡大を続けてきました。特にここ数年は、激動期となっています。2021年に投資会社Silver Lakeniによる投資の受け入れを発表。直後に、長年Splunkを率いてきたDoug Merritt氏がCEOを退任します。CEO探しの末に抜てきされたのが、テック業界のベテランで、直近にエンタープライズセキュリティ企業のProofpointを共同創業した経験をもつSteele氏です。
イベントでは、SplunkクラウドソリューションとMicrosoft Azureの提携が最大のニュースとなりました。これにより、既に対応済みのAmazon Web Services(AWS)、Google Cloudと合わせて、三大クラウドのサポートが完成しています。
加えてユニークな発表だったのが、「Splunk Edge Hub」です。以前からIoT環境でのソリューションを提供していましたが、導入するのは簡単ではありません。そこで、工場や店舗などのデータを収集するためのデバイスとして、同製品を生み出しました。創業20年目にして初のハードウエアとなります。
製品のサイズは、スマホ以上タブレット以下。この中にセンサーを内蔵し、各種プロトコルをサポート、簡単にデータの収集を始められます。収集したデータはSplunkに流れ、管理することが可能です。初期顧客はこれにカメラを接続し、製品出荷前検査に用いているとのことでした。
なお、.confではイベント中に流れるマーケティングの動画が楽しかったのですが、体制が変わったためか今回はありませんでした。
Steele氏がCEO着任となり、新しいSplunkの方向性が見えかけたイベントでしたが、その2ヵ月後の2023年9月下旬に、CiscoがSplunkを買収するニュースが発表されました。金額は280億ドルのビックディールです。