平均的な顧客は存在しない n1分析でインサイトを捉える
顧客データの取得・分析が行える点も、アプリ活用のメリットだ。星氏は、その前提にあるアソビュー!のデータ活用の狙いを詳しく解説した。
「当社は、コミュニケーションの解像度を上げるためにデータを活用しています。その中で重要視しているのが、『WHO』『WHAT』です。一人ひとりの顧客像を深掘りし、どのような価値を感じてほしいかまで仮説ベースで明確化しています。顧客便益は、情緒・機能・金銭の大きく三つに分類していますが、特に情緒的価値が最も中長期的に競合優位性を高められる領域です」(星氏)

n1を理解するため、アソビュー!はインサイト分析に取り組んでいる。性別や住所といった顧客の基本的な情報だけでなく、「一人で複数人の子どもと遊びに出かけることが多い」「宿泊が必要な遠出よりも、近場での遊びが好き」などと仮説を立てた上で、コミュニケーションを設計するのがポイントだという。
「家族構成や習慣、感情を理解して、初めてそのお客様に合ったコミュニケーション方法が見えてきます。n1分析に対して『最大公約数を導き出せないのではないか』『アプローチできる範囲が狭くなるのではないか』などの疑問をもつかもしれませんが、"平均的な人間"は存在しません。ある一人に向けた施策が、結果的に間接的な共感者を増やすのです」(星氏)
「こうした取り組みからエッジの効いた施策が生まれ、ファンの獲得にもつながっているのでしょう」(高橋氏)
続けて高橋氏が、星氏にマーケティングファネルの考え方について質問した。「AIDMA」「AISAS」など様々なモデルがあるが、実際に星氏の頭の中にあるファネルの考え方はいかなるものか。
「マーケティングファネルは徐々に変容しますが、最初の起点は『情報との接触』です。その後、サービスが認知され、自然に想起されるフェーズとなります。さらに、『今後の土曜日に子どもと出掛けたい。アソビュー!を利用してみようかな』と自分ごと化され、情報収集・比較検討を経て、コンバージョンに至る。その先に、習慣化、動詞化があります」(星氏)


特に、終盤に位置付けられている「現象化」までたどり着くと、サービスがライフライン化する。自社の商品・サービスがどのような過程を経て、顧客の日常に溶け込んでいくか。その理解が効果的な施策の近道だろう。
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