定性と定量の掛け合わせで施策を“立体化”させる
ここまで星氏は、中長期的な目線でアプリ活用や顧客との向き合い方について解説してきた。加えて、事業成長には「定性と定量の掛け合わせが欠かせない」と強調する。定量的な指標のみだと、「10%ポイント還元」のように短期的な訴求に留まるという。顧客と継続的な関係を築き、事業に生かすには、共感を引き出す定性的な指標も必要だ。この考え方をベースに、星氏は今後の具体的な施策についてこう説明する。
「施策の検討で意識しているのが“立体化”です。たとえば、大規模な施策を実行する際、あらゆるチャネルを組み合わせて空気感の醸成とともに成果を最大化する必要があります。新聞広告などの公共性の高いメディアに露出しながら、ウェブメディアでも同時に解像度の高い内容で展開。その上で、垂直立ち上げのようにテレビCMを流したり、SNSで情報をシェアできる状況を作ったりする。こうした掛け算が、施策の効果を最大化するコツです」(星氏)

セッションの最後には、高橋氏が星氏に「今後、マーケティングに取り組む上で重要な視点」を質問。星氏が改めて、多様化への対応の重要性を伝えた。
「現代は、感性や考え方、インサイトが非常に多様化しており、コミュニケーション方法の正解が一つではありません。人間は、単純なデモグラフィックやペルソナによるセグメントでは捉えられないからです。性別や年代に加えて、趣味嗜好や熱量などによるセグメント分けが求められています。今後のマーケティングでは、機械的ではなく、多様な視点でのアプローチの模索が不可欠です」(星氏)


そのために星氏が意識しているのが、“思いやり”をもつことだ。
「一方的に『この商品・サービスが良いですよ』と伝えるよりも、相手が何を考えているのかを深く理解して寄り添うスタンスでアプローチをする。そんなコミュニケーションを、これからも取っていきたいですね」(星氏)
「本セッションでは、アプリ活用を起点に事業成長に必要な考え方までお伝えしました。最初は、アプリが自社の事業にどのようなメリットをもたらすかわからないという方も、多かったかもしれません。本日の話が何か一つでも参考になれば嬉しいです」(高橋氏)
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