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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

あんぱんの老舗・木村屋總本店、今も昔も変わらぬ開拓精神で顧客層を拡大 EC事業が急成長した理由に迫る

 株式会社木村屋總本店が、オンラインショップで若年層の顧客を獲得している。明治2年創業の老舗企業が、なぜ今でも新たな顧客層を開拓していけるのか。その背景には、創業当時より浸透する「社風」があった。同社のEC事業を成功に導いたのは、特品統括部 営業部 課長 山口剛氏と特品統括部 営業部 営業課 外販係 EC担当 係長 金塚美奈氏。2人に、変化を恐れずに進むための源泉を聞いた。

新旧の融合を重んじる社風

 2022年3月、木村屋總本店オンラインショップを刷新した。Shopifyへの移行とともにデザインを変更し、新たな決済方法を導入。同年10月には、サブスクサービスの提供も開始した。

 リニューアル後のオンラインショップを訪れる顧客のうち、リピーターの割合は2023年6~8月の3ヵ月間で41%ほど売上も同期間で昨年対比約120%と好調である。

 「あんぱんといえば木村屋」と、真っ先に思い浮かべる人もいるだろう。木村屋總本店は明治2年(1869年)に創業した歴史あるパンメーカーだ。洋食が日本に到来した時代に、洋のパンと和のあんこを組み合わせた「酒種あんぱん」を開発した。日本で長らく愛されるあんぱんの原点ともいえよう。

 同社がEC事業を開始したのは、15年ほど前にさかのぼる。多数の実店舗を持つ木村屋總本店だが、出店は関東のみ。実店舗に来店するのも、中高年の顧客が中心だった。「地方の方や体が不自由な方など、実店舗へ来られないお客様へ商品を提供する、新たな販売チャネルを通じて若年層の顧客を獲得するという2つが、オンラインショップ開設の大きな目的だった」と山口氏は説明する。

 しかし、開設から数回リニューアルして以降、木村屋總本店は数年にわたって同じカートシステムでオンラインショップを運用してきた。2022年の大幅リニューアルは、EC事業へ本格的に注力していく意志の表れでもある。

株式会社木村屋總本店 特品統括部 営業部 課長 山口剛氏
株式会社木村屋總本店 特品統括部 営業部 課長 山口剛氏

 百貨店を中心に展開する同社の実店舗では、老舗らしい趣が漂う。一方、オンラインショップや公式SNSは、ポップで明るい雰囲気が印象的だ。若年層を取り込むために、「親しみやすさ」を意識したという。木村屋總本店が作り上げてきたイメージとは異なるが、社内での反発はなかったのだろうか。

木村屋總本店 オンラインショップ
木村屋總本店 オンラインショップより抜粋

「そもそもあんぱんは、古き良き日本文化と新しい西洋文化の融合から生まれた商品です。その考え方が今でも木村屋總本店全体に浸透しています。昔からのお客様を大事にしつつ、時代に合わせて変化していくことが重要だという共通認識があります」(山口氏)

 その言葉通り、オンラインショップの人気ランキング上位には、定番のあんぱんとは違った商品が並ぶ。2023年9月時点で、日清食品株式会社と共同開発した「完全メシ あんぱん」が1位、2位を争う主力商品だ。伝統ある酒種あんぱんを3位に抑えた。

 老舗ながらも枠にとらわれない社風が、新しい木村屋總本店を生み出している。

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この記事の著者

田中なお(タナカ ナオ)

 物流ライター。青山女子短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。その後、2022年にフリーライターとして独立。企業オウンドメディアや物流ニュースメディアで発信活動をし、わかりやすく「おもしろい物流」を伝えている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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