顧客目線で「邪魔にならない」コミュニケーションを
オンライン上での顧客のつまずきは、なぜ起こるのだろうか。深田氏はその理由についても解説してくれた。
「理由は2つあります。1つ目は、普段インターネットを利用しない層が、コロナ禍の影響で利用を始めたことです。これまで利用していなかったため、自ら情報を積極的に調べる行動をあまりしない傾向にあります。
2つ目は、デジタルネイティブの増加です。操作に慣れているが故に、自分ですべて調べなければならないことにストレスを感じてしまいます」
それならば、オンライン上でのアプローチ数を増やせば良いと考える人もいるかもしれないが、必ずしもそうではない。実店舗での接客と同じく、顧客が質問を投げかけるであろうタイミングで提案をしなければならない。すぐに先のページへ遷移しない新規顧客に対して、クイズ形式で商品詳細情報を提示した事例では、購入を決める前の顧客も含めて会員登録率が2.7倍にまで増加したという。
「顧客にチャットを案内するアプローチも有効だった」と深田氏は続ける。顧客の疑問のなかには、チャット経由でスタッフと会話をすれば解決できるものもある。しかし、自分からはチャットツールを立ち上げない顧客がいるのも事実だ。商品を見ているにもかかわらず、カートに入れていない顧客にチャット利用を促すことで、購入の迷いは解消できる。
実店舗で接客をしていれば、顧客に声をかけるタイミングに気を遣うこともあるだろう。顧客が直接見えない場合は、さらにそのハードルが上がる。これまでは必要なアプローチができていなかった可能性があるが、データから顧客の行動を分析できれば、タイミングに合ったコミュニケーションが期待できる。
そのためSprocketでは、マルチステップでのWeb接客を提案している。たとえば、最初は顧客の邪魔にならないよう10秒程度の動画を表示する。その後、「良ければご覧になりませんか?」と許可を得て、商品詳細ページへと誘導。その上で、より詳しい商品紹介動画を視聴してもらう。顧客に許可を得ることで、1分程度の動画でも最後まで見てもらえるようになり、購入の後押しとなるのだ。
「たとえば、顧客の認知・興味がそこまでない新商品でも、性能の良さや魅力を理解してもらえれば購入につながります。これまで、オンライン上で顧客に商品を隅々まで見てもらうことは容易ではありませんでした。しかし、うまく流れを作れば、顧客に気づきを与えることが可能です」
とはいえ、Web接客におけるポップアップは、顧客から邪魔だと受け取られる懸念がやはり残る。なぜ顧客にとって悪い体験になってしまうのか、認識しておくことも必要だろう。深田氏は顧客がポップアップを邪魔だと感じるケースを5つ挙げ、それらが大きく2つの理由に分けられると説明した。
「1つ目は、✕ボタンの押しづらさです。広告などで、ボタンが小さすぎて表示を消せないことがあるでしょう。2つ目は、誤クリックです。こちらも広告で頻繁に見かけますが、ポップアップの表示が大きすぎて、開こうと思っていないのに別ページへ遷移してしまうことがあります。こういった点に注意を払ってWeb接客を取り入れれば、効果的なアプローチとなるでしょう」
ここまで、オンライン上の顧客コミュニケーションについて詳しく解説してきた深田氏。セッションの最後には、Sprocketが行っている支援について紹介。視聴者に対してこう呼びかけた。
「当社は、顧客行動に基づくマーケティングの推進をお手伝いしています。ツールベンダーではありますが、それを運用するリソースやA/Bテストの結果から蓄積したノウハウまで提供できるのが当社の強みです。もちろん、コンテンツの埋め込みやリアルタイムでの顧客データの分析などといった、様々な機能も備わっています」
「コンサルタントがサポートしますので、運用代行も可能ですし、内製化を希望される企業には、知見の提供も行っています。また、どうすればコンバージョン数が上がり、新規顧客をロイヤル化できるのかといったノウハウについても、共有が可能です。 企業と顧客の長期的な関係構築に貢献していきたいと考えていますので、そういった場合にはぜひSprocketを思い出していただけますと幸いです」
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