2020年7月にオープンした、オルビス初の体験特化型施設「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」。同店舗は「ものを売る」機能を携えながらも、ブランドコンセプトの「ここちを美しく。」を細部まで一貫して体現。お客様が五感でここちよさを感じながら、自分の肌を知り、そこで得た体験を持ち帰ることができる場所として設計された。1階では最適度に設定された水場で泡立て洗顔体験など、見て、触れて、ここちよさを体感できるほか、ジュースやサラダといった健やかな美しさを引き出すインナーケアを提供。2階にはORBISアプリ会員専用のトリートメントや商品を自由に試せるブース、正しいスキンケアやメイクを学べるワークショップスペースを設けるなど、よりプライベートな体験ができる場としている。同施設やテクノロジー&サイエンスを活用した新規事業、同社が目指す顧客体験について、新規事業開発グループの諸町実希さんに話を聞いた。
ビューティーブランドとして提供価値を再定義
オルビスの歴史は1987年、カタログ通販から始まっている。ECサイトの開設は1999年、その後直営店を展開。スキンケアを中心に衣食含むさまざまなカテゴリーの商品を販売し、着実に事業を拡大してきた。しかし、2000年代半ばからECプラットフォーマーの台頭をはじめ、化粧品がオンラインで購入できる環境が普及し、成長が鈍化。通販会社としての成功体験から脱却すべく、ドメイン・提供価値の再定義を行った上で、2018年にリブランディングに着手した。
その際、顧客目線を念頭に置き、通販会社から「スキンケアを中心としたビューティーブランド」へと舵を切った同社は、各社員が自身の持ち場だけでなく、チャネルを横断したひとつのブランド体験を追求できる組織作りを目指した。そして、通販事業と店舗事業の部署の垣根をなくすなど、抜本的な改革を行ったと言う。
「原点に戻り、意見交換や議論を重ねた結果生まれたのが、『ここちを美しく。』というブランドメッセージです。そして、創業時から根づく『肌が本来もつ力を信じて、引き出すこと』を信念に、1人ひとりの多様性や美しさ、可能性を広げる『スマートエイジング』を提供価値に据えました」
主に年齢や性別、肌の特性などでターゲット分類がされるスキンケア商材だが、本来は人によって肌質やスキンケアに求める要素、価値観なども異なるものである。「1人ひとりの正解をともに模索し導き、お客様のビューティーに寄り添うパートナーとして、ここちよく楽しんでいただける商品・サービスを提供したい」と諸町さんは説明する。