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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.19特集「Accelerate OMO ~人×テクノロジーでアップデートする店舗DX~」

感動を増幅させるショコラ体験 OMO展開でリンツが目指す人生を豊かにする価値提供

 エモーショナルな顧客体験でブランドへの期待を醸成。旗艦店と公式アプリの連携で生まれるシナジーとは。 ※本記事は、2021年12月24日刊行の『季刊ECzine vol.19』に掲載したものです。

 スイス発のプレミアムチョコレートブランド「Lindt(リンツ)」は、2021年6月に世界初のフラッグシップ「リンツ ショコラ ブティック&カフェ 表参道」をオープン。その翌月にリリースした公式アプリにはバーチャルストア機能を盛り込み、高級感ある同店内でのショッピングをオンラインで擬似体験しながら楽しめる機能を提供している。175年以上もの歴史を誇る同ブランドの伝統と革新を、オンライン・オフライン問わず肌で感じることができる仕掛け作りに挑むのがリンツ&シュプルングリージャパン株式会社 マーケティングマネージャーの片岡正宏さんだ。同社がなぜ今オンラインを用いて体験の幅を広げているのか、チョコレートという商材を通して伝えたいことについて話を聞いた。

リンツ&シュプルングリージャパン株式会社 マーケティング マネージャー 片岡正宏さん

接客・VMD力向上も マーケティング部門の役割

 アプリを使って年間の買い物金額に応じたロイヤリティプログラム、友人・知人にメールやSNSを介して送付できるデジタルギフト、クーポン配布、店舗検索機能などECと店舗どちらにも役立つ体験を提供するリンツ。ここまでは典型的なアプリ活用事例と言えるが、同ブランドアプリでもっとも特徴と言える点がバーチャルストアの展開だ。

「コロナ禍とは言え、ひとりでも多くのお客様にリンツ直営店舗の特別なショコラ体験を体感していただきたい。そう思い、同機能を提供しました」

 前職のスポーツブランドではアジア太平洋地域のグローバルマーケティングに従事し、中国・上海で最先端のEC、OMOに触れてきた経験を持つ片岡さんは、異業界での挑戦を求めて2020年にリンツ&シュプルングリージャパンに入社。アプリ施策に留まらず、同社全体のマーケティングを統括している。

「当社には、プロダクトマーケティング(商品開発)、ブランドマーケティング、オムニチャネルマーケティング、トレーニングマーケティングと主に4つのマーケティング機能が存在します。とくに特徴的なのが、最後に紹介したトレーニングマーケティングではないでしょうか。

 リンツの店舗運営は、『ショコラアドバイザー』と呼ばれる1,000人以上のスタッフによって成り立っています。店内環境でのコンバージョンを高めることが売上につながるため、当社では彼らの接客やVMD(Visual Merchandising:視覚的に訴求を行うPR手法)スキルを高めるためのトレーニングも、マーケティング部門の仕事です」

 他社では人事部門やエリアのセールスマネージャーに紐づいていることも多いトレーニング業務だが、同社ではスタッフと顧客との接点において行われるアプローチもマーケティングの一環と考えられている。「商品が製造され、お客様に届くまでのジャーニーをマーケターがシームレスにプランニングできるのが強み」と片岡さんは語る。

 たしかに、マーケティング施策はECと店舗、購買喚起とブランディング、新規と既存といったようにチャネルや目的、顧客の状況に合わせて4つの機能のバランスを取り、最適化する必要がある。マーケティング部門がスタッフのトレーニングをも舵取りすれば、オンラインとオフライン双方から一貫性を持った顧客体験を創出・提供できる。そう考えるのは、時代の流れに合った判断と言えよう。

「あくまで、重要なのはお客様視点です。お客様とのタッチポイントを緻密に設計してオンラインとオフラインをつなぎ合わせることで、最短距離でブランドの目標達成にもつなげる。こうした快適なジャーニーをストレスなくお客様に提供することが、重要だと考えています」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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