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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.20特集「Refine CX~EC起点のデータで創る次世代コマース体験~」

顧客ID一元化でニーズを鮮明に 対話なしに良いシステムは生まれない 企業価値を高めるコーセーのDX

 施策検討からIT部門も協力し、シナジーを生む。全社で挑む化粧品販売・カウンセリングの再定義とは。 ※本記事は、2022年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.20』に掲載したものです。

 チャネルの多様化が進む現代。企業が顧客1人ひとりを深く理解し、最適なタイミングでサービス提供を行うには、オンオフを問わず、すべての接点で活用可能な顧客IDの整備が鍵となる。

 株式会社コーセーは、これまでブランドごとに管理・運用していたアカウントを2021年6月に「KOSÉ ID」に統合。さらにオンラインカウンセリング・プラットフォーム「WEB-BC SYSTEM」の開発や、店頭で用いる肌測定機器・カウンセリングツールの機能拡充など、いつでもどこでも同社のカウンセリングを受けることができる環境作りを実現している。その背景には、事業部門・IT部門双方の意識変革や既存業務フローの刷新など、従来とは異なる取り組みがあった。こうしたDX推進の舞台裏について、同社の情報統括部でグループマネージャーを務める進藤広輔さんに話を聞いた。

株式会社コーセー 情報統括部 グループマネージャー 進藤広輔さん

変革のチャンスを逃さずカウンセリングの体験向上へ

 進藤さんは、2020年2月にコーセーに入社。KOSÉ IDへの一元化やカウンセリングの多様化、DX推進は進藤さん入社前の「2019年頃よりプランニングされていた」と言う。

「WEB-BC SYSTEMも、2021年11月よりコーセー取扱店にて導入開始している『スキンカウンセルV』や『Beauty Consulting Navi』も、コロナ禍を理由に開発したものではありません。

 化粧品業界においては、顧客をどこまで深くとらえるか、つまり1to1コミュニケーションが非常に重要となります。しかし従来は、慣習によりブランドや出店する店舗ごとに顧客データが分断したり、流通側との双方向のデータのやり取りが難しかったりと、活用がしづらい状況でした。商品が顧客の手元に届くラストワンマイルの動きをメーカー側が把握できない。この課題を少しずつでも打破すべく、まずは顧客IDを一元化するところから始めようと決めました」

 これまで各ブランドで会員登録をしていた顧客にとっては、KOSÉ IDへの連携手続きが必要になるなど、手を煩わせてしまう点も存在するが進藤さんは「同IDへの一元化は、コーセーにとっても顧客にとってもプラスの側面ばかり」と続ける。

「奇しくもコロナ禍でEC化率が上昇し、化粧品の購入においても『今店頭に行くのは難しい』『ECで購入したい』という顧客からの要望が増えています。それにともなって流通側とメーカー側の双方が手を取り合い、送客と売上向上に取り組もうという動きが見られたのも事実です。

 顧客情報が一元化されれば、前回は店頭でスキンカウンセルVを使ってカウンセリングを受けた顧客のデータを参照しながら、WEB-BC SYSTEMで同様のサービス提供を行うことができます。チャネルを問わず、顧客1人ひとりに合ったカウンセリングが実現すれば、顧客体験の向上にもつながるでしょう。まさに今が変革のチャンスだととらえています」

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この記事の著者

景山 真理(カゲヤマ マリ)

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、ウェブメディアや雑誌をはじめとする紙媒体のライティングの仕事をしています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、仕事・働きかた、デジタルトランスフォーメーションです。 ウェブ●Mari Kageyama Writing Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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