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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2021 Autumn レポート(AD)

8割の離脱ユーザーを引き止めCVRを2倍に伸ばす 囲い込み接客3つのポイントを解説

 国内でのEC利用率は年々増加し、2020年7月時点ですでにふたり以上の世帯では半数以上が利用している状況だ(総務省統計局調べ)。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にプレイヤーも増え、EC事業者にとっては、顧客獲得競争がますます激化していると言える。2021年9月3日開催の「ECzine Day 2021 Autumn」にて、マーケティングテクノロジー事業を手掛ける株式会社ジーニー 代表の工藤智昭氏、ビジネスサーチテクノロジ株式会社 取締役 兼 営業本部長の光安紀臣氏が登壇し、ECで売上を上げるためのポイントと「囲い込み接客」の実践方法について紹介した。

集客から販促、受注までを一気通貫で支援 ジーニーグループが提唱する囲い込み接客とは

(写真左)株式会社ジーニー 代表 工藤智昭氏
(写真右)ビジネスサーチテクノロジ株式会社 取締役 兼 営業本部長 光安紀臣氏

 「ECの売上を上げる」――これはEC事業者にとって、シンプルかつ、常に最終目標として追求し続けなければならない最重要課題である。セッションの冒頭でビジネスサーチテクノロジの光安氏は、売上を上げるためのポイントとして「CVRをいかに向上させるか」を挙げながら、「コンバージョンのプロセスの中でとくに注視すべきは、『購買に至らない原因』だ」と説明する。つまり「取りこぼし」をいかに徹底して防ぐかが重要ということだ。

 そこで効果的にCVRを向上させる施策として、ジーニーおよびビジネスサーチテクノロジでは「囲い込み接客」を提唱している。ユーザーをスムーズな購買体験へ導き、いかに取りこぼさないようにするか。そのためには、「検討フェーズ」と「購入フェーズ」のユーザビリティを改善する必要がある。その際には、次の3つのポイントが鍵になると言う。

  1. 検討フェーズ:ユーザーの欲しい情報を確実に提供する
  2. 購入フェーズ:購入意欲が高まったら確実に購入完了させる
  3. 購入フェーズ:離脱ユーザーを確実にナーチャリングする

 ジーニーおよびビジネスサーチテクノロジでは、こうした課題を抱えるEC事業者に対し、MAツール「MAJIN」やSFA/CRMツール「ちきゅう」、サイト内検索ツールの「ポップリンク」や「ポップファインド」、Web接客プラットフォーム「Chamo」といったさまざまなソリューションを提供。導入実績は累計1万社以上に上り、集客から販促、受注までを一気通貫でサポートしている。

サイト内検索がスムーズでないと8割以上のユーザーが離脱する

 ここからは、囲い込み接客を実践するにあたっての課題を光安氏が解説。まずは「検討フェーズの顧客をいかに囲い込むか」という課題について語った。

 EC利用の際、目的の商品を見つけるためにサイト内検索を利用した経験がある人も多いだろう。ビジネスサーチテクノロジが2019年に実施した調査によると、EC利用時にサイト内検索を利用する人は9割にも上ると言う。

 ところが、利用しながらも「サイト内検索で探していた商品が見つからなかった」と不満を抱く人が86%いること、さらには商品が見つからなかったことでそのECで購入することを諦め、離脱する人が81%いることも同調査で明らかになっている。

「サイト内検索を使うユーザーは、購買のモチベーションが高い状態にあります。しかし、ユーザーが期待する商品情報と提示する検索結果のミスマッチが原因で離脱しており、非常にもったいないECが多く存在する状況です。つまり、適切なユーザビリティを提供し、約8割のユーザーをいかにフォローするかを考えなければなりません」(光安氏)

 こうした課題を解決する手段として、ビジネスサーチテクノロジでは、ユーザーがより商品を見つけやすくするためのツール「ポップリンク」と「ポップファインド」を提供している。

 「ポップリンク」は、検索窓で候補語を自動補完しながら、キーワードと関連性の高い商品ページを提案。ユーザーが商品を見つけやすくするためのツールだ。たとえば、ユーザーがサイト内検索窓に「デニム」と入力した際には、「デニム ジャケット」「デニム ワンピース」といった候補語を表示。ユーザーが選んだ候補語に合った商品詳細ページの情報を表示し、膨大な商品データベースの中からユーザーが欲しい商品へスムーズにたどり着けるよう導く仕組みとなっている。

 ユーザーが検索行動を起こす際、必ずしも商品データベースに登録された文言をそのまま入力してくれるとはかぎらない。ひらがな・カタカナ、全角英数・半角英数、アルファベットの大文字・小文字といった表記ゆれや略語、類語、通称なども考慮する必要があるが、ユーザーが入力するキーワードすべてを網羅するのは非常に困難と言える。

 また、サイト内検索窓からキーワード検索し、適切な検索結果一覧を提示できたとしても、そこから購入に至るまでは目的の商品を探した上で、商品詳細ページへ遷移する、といったようにさらなるステップを挟む。欲しい商品が明確となっているユーザーにとっては、こうした煩雑さも購買意欲を低下させる原因となりかねない。そのため、「ポップリンク」ではサイト内検索窓から直接商品詳細ページに遷移できる仕組みを構築し、ミスマッチの防止と導線の最短化を同時に実現させている。

 「ポップファインド」は、検索結果一覧上での表示順ソートやヒット件数を表示した絞り込み、商品の価格やレビュー、商品説明などが比較検討できる機能を提供し、ユーザーにとって最適な商品を見つけやすくするツールとなっている。いずれもAPI開発などは不要で、JavaScriptタグの設置とデザイン調整のみでEC上の検索体験を向上させることが可能だ。

 ここで光安氏は、「ポップリンク」と「ポップファインド」の導入事例を紹介した。メガネスーパーでは、「ポップリンク」導入後に利用者のCVRが約2.4倍、サイト内検索のユーザー利用数は128%に増加、検索利用者のPVも約4倍にまで増加している(※前年同期間比較)。そのほかにも、ピーチジョンでは導入からおよそ1ヵ月で検索経由のCVRが約5%向上、「ポップリンク」と「ポップファインド」双方を活用するプチバトージャパンでも、検索経由のCVR改善、検索経由の売上に大きく貢献していると言う。

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購入意欲を削がない入力フォーム作り ユーザーの「慣れ」に着目を

 続いて、ジーニーの工藤氏が購入フェーズにおいてCVRを向上させる方法を語った。まず「80%」という数字を提示し、この数字が何を示すものか次のように説明する。

「この数字は、入力フォーム到達後に離脱してしまうユーザーの割合を示したものです。ECでは『カゴ落ち』と言われますが、EC上のデザインを工夫したり、巨額な広告費を投下して集客したりしても、これだけ多くのユーザーが離脱しています。売上を上げたいのであればこの数字に目を向け、カゴ落ちするユーザーをできるだけ減らし、CVRを上げるようにしましょう。CVRが改善すれば売上も一気に上がります」(工藤氏)

 Baymard Instituteが実施した調査によると、カゴ落ち理由の上位は「追加コストが高すぎる(送料・税金・手数料など)」が55%、「アカウント作成が必要」が34%、「完了までのプロセスが長すぎる/煩雑すぎる」が26%となっている。最後に挙げた完了までのプロセスについては、入力フォームに関する課題となるため、「ツールを導入し、活用すれば劇的な改善が可能である」と工藤氏は続けた。

 そこで、工藤氏はカゴ落ちを改善する方法として、Web接客プラットフォーム「Chamo」に搭載されている「チャットEFO」機能を紹介。同機能は、EFOツールの機能をチャットボットで実現するものであり、対話や質問を通してオペレーターによる案内を疑似体験しながら、名前や電話番号、メールアドレスなど購入に必要な情報をページ遷移なしに入力できる。最後まで離脱せずに入力完了できるよう伴走してくれるため、導線の改善、CXの改善、そして離脱を防止してCVRの改善を図ることが可能だ。

「チャットEFOを用いることでユーザーのストレスを軽減し、CVRが1.2倍~2倍まで向上した事例も存在します。既存の入力フォームをチャットEFOに置き換えれば、大きな成果を得ることが可能です」(工藤氏)

 同機能の導入により、ヘアケア商品を扱う単品リピート通販事業者ではCVRが2倍に向上。人材サービス事業者では、アルバイト採用説明会の予約フォームにチャットEFOを導入したことでCVRを1.4倍にまで伸ばしたと言う。

「昨今のユーザーは、プライベートではLINE、ビジネスではSlackやMicrosoft Teamsなどを使い、チャット形式でのやり取りが一般的になりつつあります。ユーザーが慣れている形式に入力フォームを合わせることで、離脱率は大きく改善できます」(工藤氏)

一度の出会いを逃さない LINE活用で追いコンバージョン獲得へ

 工藤氏は、CVR改善策として「離脱ユーザーのナーチャリング」の重要性についても言及した。一度来訪したものの、何らかの理由で離脱したユーザーに対するアプローチ方法としては、リターゲティング、メール・DMなどでの訴求が考えられるが、「こうした訴求方法も最新のチャネルに対応することが必要」と工藤氏は説明する。

 NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、2021年1月時点でスマートフォン・携帯電話所有者の8割以上がLINEを利用。さらに、LINE利用者の3人にひとりは企業のLINE公式アカウントから商品購入の経験があることも明らかになっている(ソーシャルデータバンク調べ)。そこで、ジーニーでは「囲い込み接客へのLINE活用が、今後のマーケティングのスタンダードになる」と考え、Web接客ツール「Chamo」の新機能としてLINE公式アカウントを連携したサービスを提供。LPに来訪したユーザーが離脱する直前にポップアップでLINE公式アカウントへの登録を促し、登録後に同アカウントに実装したチャットbotを用いてナーチャリングを実施。LPへの再流入や商品購入に導く。

 LINE公式アカウントを用いた施策としては、「リタゲLINE」も有効だ。従来主流とされていたリタゲ広告は、たとえばCVRが5%の場合、常に95%のユーザーを捨てている状況となる。近年はCookie利用規制の影響もあり、効果の低減や配信ボリュームの減少も課題となっているが、離脱時にLINE公式アカウントへの登録を促しておけば、離脱ユーザーの蓄積が可能だ。そして、LINE公式アカウントからクーポンやメッセージの配信を通して再アプローチを繰り返せば、既存施策にプラスでいわゆる「追いコンバージョン」を獲得できるようになる。

「LINEはリターゲティング広告よりもCTRが高く、メルマガよりも開封率が3~4倍ほど高いと言われています。こうした観点からも、非常に効率の良い施策と言えます」(工藤氏)

 実際にリタゲLINEを実施したオーラルケア系単品リピート通販事業者では、施策展開により1,240件のコンバージョンを追加で獲得。これは離脱ユーザーの3.95%にあたり、施策を実施しなければ取りこぼしてしまっていたユーザーと言える。また、ダイエット系単品リピート通販事業者では、リタゲLINEにより1ヵ月あたり75件コンバージョンが増加、導入ページPVの0.5%が追いコンバージョンであることも判明している。一度離脱したユーザー、取りこぼした注文を適切にフォローすることの重要性が数字からもうかがえるだろう。

 最後に工藤氏は、改めて囲い込み接客を行うポイントをまとめ、このように締めくくった。

「囲い込み接客に取り組む際は、まず検索機能のユーザビリティを上げて、ユーザーが欲しい情報を確実に提供し、CVRを上げましょう。次に行うべきは、入力フォームに到達したユーザーが確実に購入してくれるよう、カゴ落ち防止の手を打つことです。それでも離脱してしまうユーザーに対しては、最新のチャネルに対応したナーチャリング施策を展開し、一度得た機会は逃さないようにします。こうすることで検討・購入フェーズを通したECサイト全体のCVR向上が期待できます」(工藤氏)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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