培ってきたブランドイメージを守りつつ新しい挑戦を
「Talkwalker」ではランダムなキーワードだけでなく、特定キーワードでのフィルタリングも可能だ。これにより、ヨックモックが顧客からどのようなブランドイメージを持たれているかを可視化できる。分析の結果、「定番」「素敵な」「丁寧な」「優しい」「かわいい」といったキーワードが目立った。個別の投稿を見ると、「手土産としての絶大なる信頼」「日本の洋菓子の王様」といった表現もあり、贈り物の定番ととらえられていることがわかる。
「数あるお菓子の中で、定番と言われることは本当にありがたいことです。また、当社は真心をこめたお菓子作りを信念としているので、『優しい』『丁寧』というキーワードが多いことは、会社としての想いや、やりたいことが伝わっているということでもあります。生の声を聞くことができるのは、自分たちの施策や方向性がうまくいっているかの判断にもなり、たいへん有益と感じています」(島倉氏)
「その一方で、『定番』というキーワードには『無難』といったニュアンスも含まれています。今後も愛され続けるためには、定番ブランドとしてのテイストを保ちつつも、ブランドとして活き活きしている、新しい挑戦をしていることがわかるアウトプットを提供することが重要だと思っています」(高橋氏)
実際に「Talkwalker」で行った集計では、ヨックモックのブランドイメージを想起させる前述のキーワード群(「定番」「丁寧」など)のエンゲージメント数が855であるのに対し、「初めて」「食べたことのない」「新しい」「おしゃれな」といったキーワードは約半数の428に留まっている。「ブランドとして新しい挑戦をすることで、これらのキーワードも増やしていきたい」と高橋氏は語った。
コロナ禍で生まれる新たな需要 既存コンテンツも改めて話題に
続いて紹介されたのは、コロナ禍での新たな需要がうかがえる分析結果だ。なかなか外出ができない状況の中、ブランド名が「おうちカフェ」「おうち時間」といったハッシュタグと一緒に投稿されていたと言う。
「百貨店が休業を余儀なくされたほか、リモートワークが進み、手土産を渡すシーンが激減したことで大きな変化が現れています。結果として、ありがたいことにECでの購入が増え、SNSなどでは自分用に初めて買ったという声が見られるようになりました。もともとギフトのイメージが強いかと思いますが、コロナ禍で『少しでも自分の時間を充実させたい』『癒やしがほしい』と思った方々が購入してくださったのが、今までとの大きな違いだと感じています」(島倉氏)
「スライド内の『ヨックモックが教えるクッキーレシピ(世界文化社)』は、当社が2015年に出したレシピ本です。6年経つと現在どのように読まれているか把握することは難しいのですが、今回SNSを通じてレシピ本が改めて話題になっております。ブランドのコンテンツがロングテールでよい影響を与えてくれることは、現場にとっても非常にうれしいことです」(高橋氏)