データ取り込みから活用までを広くカバー b→dashの特徴とは
データドリブンなEC運営実現に向け、近年顧客データをまとめる「CDP(Customer Data Platform)」や、パーソナライズされた顧客体験を提供する「MA(Marketing Automation)」により注目が集まっている。その中でも「b→dash」は、「データの取り込み」から「活用」まですべての領域をカバーするデータマーケティングクラウドシステムだ。大薮氏は「プロダクトのコンセプトは、ノーコードとAll in Oneです」と語る。
いかなる企業であっても、データを活用した施策に着手する前に、必ず経るべきプロセスがある。それは、自社内に蓄積されたデータを「取り込んで」「加工・統合」し、「抽出する」というものだ。b→dashはこうした流れをサポートすることで支持を獲得し、2021年6月時点で500社以上の企業に導入されている。
b→dashの特筆すべきポイントは、SQLを使わずにノーコードでデータの「取込/加工/統合/抽出」ができる点だ。さらに、MA、CDP、BI(Business Intelligence)、ウェブ接客など、データを「活用」するために必要な機能を網羅し、データドリブンなEC運営を実現できる点も大きな特徴と言える。
あらゆる企業がぶつかる「データの準備」という壁
ここからは2018年にb→dashを導入し、F2転換率1.7倍を実現したあるアパレル企業A社の成功事例が紹介された。まず大薮氏は、A社の事業概要や施策実施前の総会員数、平均購入単価などを解説。
「A社は、マーケティング戦略の重要KPIとしてLTV改善を設定していたものの、目標達成に至る道筋の中でF2転換率の向上が課題となっていました」(大薮氏)
当セッションで紹介するF2転換率の定義は、「初回購入を行った顧客のうち、6ヵ月以内に2回めの購入に至った顧客の割合」である。大薮氏は「業界平均が34%程度と言われる中で、A社はそれを下回る27%程度に留まっていた」と解説した上で、A社が試みた数値改善のための新施策をふたつ紹介した。ひとつは、初回購入からの経過日数に基づき、顧客に対して商品レコメンドを提案する施策、もうひとつは初回購入商品のカテゴリー・ブランドに基づき、2回めに購入しやすい商品をレコメンドする施策だ。
しかし、これらを実施する過程で、A社は「データの準備」という壁にぶつかってしまう。施策を実施するためのデータとして、「顧客ID」「氏名」「性別」「メールアドレス」に加え、「初回購入日付」「初回購入からの経過日数」「購入商品情報」が必要であったが、「中には、社内システムで直接的に保持していない値も存在する状況だった」と大薮氏は語る。
必要とする情報をすべて網羅するには、既存のデータを統合・加工し、これまでの社内システムには存在しない値を新たに作成しなければ前へ進むことが難しい。たとえば、「顧客ごとの初回購入からの経過日数」を割り出すには
- 受注データから初回購入日付を特定し、経過日数を算出する
- 上記を既存の顧客データと統合する