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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2021 Summer レポート(AD)

あるアパレルEC企業がF2転換率を1.7倍にした秘密 b→dashによるデータマーケティング成功事例

 あらゆる業界で、DX推進に注目が集まる昨今。大量の顧客データを保有するEC事業者にとっても、データに基づいた顧客理解や購買体験の最適化は今後ますます重要視されるテーマだと言える。2021年6月9日に開催された「ECzine Day 2021 Summer」にて、データマーケティングプラットフォーム「b→dash」を提供する株式会社データX Customer Success UnitのManager 大薮悟志氏が登壇。アパレルECにおいてデータマーケティングを成功させるための分析と施策実施のポイントについて紹介した。

データ取り込みから活用までを広くカバー b→dashの特徴とは

株式会社データX Customer Success Unit Manager 大薮悟志氏
(画像右下)株式会社データX Customer Success Unit Manager 大薮悟志氏

 データドリブンなEC運営実現に向け、近年顧客データをまとめる「CDP(Customer Data Platform)」や、パーソナライズされた顧客体験を提供する「MA(Marketing Automation)」により注目が集まっている。その中でも「b→dash」は、「データの取り込み」から「活用」まですべての領域をカバーするデータマーケティングクラウドシステムだ。大薮氏は「プロダクトのコンセプトは、ノーコードとAll in Oneです」と語る。

 いかなる企業であっても、データを活用した施策に着手する前に、必ず経るべきプロセスがある。それは、自社内に蓄積されたデータを「取り込んで」「加工・統合」し、「抽出する」というものだ。b→dashはこうした流れをサポートすることで支持を獲得し、2021年6月時点で500社以上の企業に導入されている。

 b→dashの特筆すべきポイントは、SQLを使わずにノーコードでデータの「取込/加工/統合/抽出」ができる点だ。さらに、MA、CDP、BI(Business Intelligence)、ウェブ接客など、データを「活用」するために必要な機能を網羅し、データドリブンなEC運営を実現できる点も大きな特徴と言える。

あらゆる企業がぶつかる「データの準備」という壁

 ここからは2018年にb→dashを導入し、F2転換率1.7倍を実現したあるアパレル企業A社の成功事例が紹介された。まず大薮氏は、A社の事業概要や施策実施前の総会員数、平均購入単価などを解説。

「A社は、マーケティング戦略の重要KPIとしてLTV改善を設定していたものの、目標達成に至る道筋の中でF2転換率の向上が課題となっていました」(大薮氏)

アパレル企業A社事業概要

 当セッションで紹介するF2転換率の定義は、「初回購入を行った顧客のうち、6ヵ月以内に2回めの購入に至った顧客の割合」である。大薮氏は「業界平均が34%程度と言われる中で、A社はそれを下回る27%程度に留まっていた」と解説した上で、A社が試みた数値改善のための新施策をふたつ紹介した。ひとつは、初回購入からの経過日数に基づき、顧客に対して商品レコメンドを提案する施策、もうひとつは初回購入商品のカテゴリー・ブランドに基づき、2回めに購入しやすい商品をレコメンドする施策だ。

 しかし、これらを実施する過程で、A社は「データの準備」という壁にぶつかってしまう。施策を実施するためのデータとして、「顧客ID」「氏名」「性別」「メールアドレス」に加え、「初回購入日付」「初回購入からの経過日数」「購入商品情報」が必要であったが、「中には、社内システムで直接的に保持していない値も存在する状況だった」と大薮氏は語る。

 必要とする情報をすべて網羅するには、既存のデータを統合・加工し、これまでの社内システムには存在しない値を新たに作成しなければ前へ進むことが難しい。たとえば、「顧客ごとの初回購入からの経過日数」を割り出すには

  • 受注データから初回購入日付を特定し、経過日数を算出する
  • 上記を既存の顧客データと統合する
 といった作業が必要になる。

 

アパレル企業A社の社内システムデータ概要

時間もコストもかかるデータ整備 SQL活用のハードルを越えるb→dash

 続いて大薮氏は、A社が前述した課題をどのように解決したのか説明した。

  • システム上、存在しないデータを新規作成(加工)する
  • 複数システム間に散在するデータを統合する

 このような処理を実現するには、通常であればデータを加工・統合するための言語「SQL」を記述する必要がある。つまり、システムからデータを抽出し、さらに施策実行できる状態に整えるには、SQLを扱うことができるエンジニアの稼働が必須ということだ。

 しかしA社の場合、データマーケティングを推進する部門の中にはSQLを扱えるメンバーがおらず、外部に依頼しなければならない状況であった。そのため、まずは社内のエンジニアチームに相談したところ、「チーム内にデータ加工ができるメンバーはいるが、サイトリニューアル業務などさまざまな作業を請け負っている関係上、2ヵ月程度待ってほしい」と返事をもらったと言う。

 2ヵ月も待つのは難しいと考え、社外のシステムベンダーに依頼をしたところ、「必要なデータを準備するだけで、150万円程度の費用が必要」という回答を受け取ったA社。内部で実施するには時間がかかる、外部に依頼しようとすると、コストが膨れ上がってしまう。課題が積み上がる中、A社はb→dashの導入を相談した。抱える課題をすべて解決できることが判明したため、導入を決定し今に至るという経緯だ。

 前述したように、「ノーコード」と「All in One」をコンセプトに掲げるb→dash。A社はこのメリットを最大限に活かし、「マーケティング担当者が自分自身でデータの加工・統合を行う」「整えたデータを基に、データマーケティング施策を展開する」という環境を実現した。

 なお、b→dashではアプリケーション画面内の「データパレット」から施策に必要なデータ加工・統合ができる仕組みになっている。

b→dashのデータパレット

 つまり、大きなコストをかけずにマーケター自身が好きなタイミングで最適な形式のデータを作成でき、施策を実施できるのだ。

 SQLを用いることなくノーコードでデータ加工・統合が実現できる理由は、b→dashがテンプレートを豊富に用意している点にある。500社以上へ導入した実績とナレッジに基づき、データ加工の際に頻繁に活用される処理プロセスをテンプレート化。合計250種類ものテンプレートが利用できるようになっている。A社のように、個々に存在するデータを統合・処理する際も、「顧客データ」「受注データ」「商品データ」「受注明細データ」など該当するものを取り込んだ上で選択し、ボタンをクリックすれば統合を進めることが可能だ。

 A社はb→dash導入により、課題として抱えていた「データ準備」と「ふたつの施策実施」を当初の目的どおりに実現させた。なお当施策実施時には、併せてb→dashの「シナリオ」機能も活用している。顧客に対しメールで商品レコメンド情報を送信した後に、「開封/未開封」で顧客をセグメント。未開封者にはタイトルを変えて同内容のメールを再度送り、開封者にはクリック状況に応じて次のアプローチを施すシナリオを作成・実施した。b→dash導入により、A社はそれまで抱えていたデータ整備の課題を解決しただけでなく、データに基づいた細やかなメールアプローチまで実現させたのである。

コスト削減のみならずデータ活用の利便性も向上 F2転換率は1.7倍に

 b→dash導入により、データ分析および新施策を実現したA社だが、創出された成果はどのようなものだったのだろうか。大薮氏はこのように語った。

「前述したように、施策実施前のA社のF2転換率は27%程度でした。しかし、施策実施後には45%程度にまで引き上げることができ、1.7倍の成果を達成しています。施策を行い、数字が改善しているか確認しながら施策の見直しを積み重ねることで、ここまで向上させることができました」(大薮氏)

A社の成果

 当初の計画では、LTVを引き上げることが最終目標であったA社。実際に顧客が初回購入後、特定期間内に購入した総合売上も上昇しており、「施策実施前は平均1万2,600円でしたが、1万5,100円とおよそ1.2倍まで引き上げることができています」と大薮氏は説明した。

 最後に同氏はこのようにまとめ、セッションを締めくくった。

「まず、A社はb→dash導入によりマーケターの手でデータの加工・統合を実現し、外部システムベンダーへの発注費用を削減することができました。これは費用を抑えるのみならず、データを見たいタイミングに必要な形で抽出ができる環境構築にもつながっています。

 そこからさらなる施策を実施し、KPI改善を続けた結果、A社はF2転換率を1.7倍、LTVを1.2倍にまで引き上げることに成功しました。これはb→dash活用で売上向上を実現した成功事例と言えるでしょう」(大薮氏)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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