時間もコストもかかるデータ整備 SQL活用のハードルを越えるb→dash
続いて大薮氏は、A社が前述した課題をどのように解決したのか説明した。
- システム上、存在しないデータを新規作成(加工)する
- 複数システム間に散在するデータを統合する
このような処理を実現するには、通常であればデータを加工・統合するための言語「SQL」を記述する必要がある。つまり、システムからデータを抽出し、さらに施策実行できる状態に整えるには、SQLを扱うことができるエンジニアの稼働が必須ということだ。
しかしA社の場合、データマーケティングを推進する部門の中にはSQLを扱えるメンバーがおらず、外部に依頼しなければならない状況であった。そのため、まずは社内のエンジニアチームに相談したところ、「チーム内にデータ加工ができるメンバーはいるが、サイトリニューアル業務などさまざまな作業を請け負っている関係上、2ヵ月程度待ってほしい」と返事をもらったと言う。
2ヵ月も待つのは難しいと考え、社外のシステムベンダーに依頼をしたところ、「必要なデータを準備するだけで、150万円程度の費用が必要」という回答を受け取ったA社。内部で実施するには時間がかかる、外部に依頼しようとすると、コストが膨れ上がってしまう。課題が積み上がる中、A社はb→dashの導入を相談した。抱える課題をすべて解決できることが判明したため、導入を決定し今に至るという経緯だ。
前述したように、「ノーコード」と「All in One」をコンセプトに掲げるb→dash。A社はこのメリットを最大限に活かし、「マーケティング担当者が自分自身でデータの加工・統合を行う」「整えたデータを基に、データマーケティング施策を展開する」という環境を実現した。
なお、b→dashではアプリケーション画面内の「データパレット」から施策に必要なデータ加工・統合ができる仕組みになっている。
つまり、大きなコストをかけずにマーケター自身が好きなタイミングで最適な形式のデータを作成でき、施策を実施できるのだ。
SQLを用いることなくノーコードでデータ加工・統合が実現できる理由は、b→dashがテンプレートを豊富に用意している点にある。500社以上へ導入した実績とナレッジに基づき、データ加工の際に頻繁に活用される処理プロセスをテンプレート化。合計250種類ものテンプレートが利用できるようになっている。A社のように、個々に存在するデータを統合・処理する際も、「顧客データ」「受注データ」「商品データ」「受注明細データ」など該当するものを取り込んだ上で選択し、ボタンをクリックすれば統合を進めることが可能だ。
A社はb→dash導入により、課題として抱えていた「データ準備」と「ふたつの施策実施」を当初の目的どおりに実現させた。なお当施策実施時には、併せてb→dashの「シナリオ」機能も活用している。顧客に対しメールで商品レコメンド情報を送信した後に、「開封/未開封」で顧客をセグメント。未開封者にはタイトルを変えて同内容のメールを再度送り、開封者にはクリック状況に応じて次のアプローチを施すシナリオを作成・実施した。b→dash導入により、A社はそれまで抱えていたデータ整備の課題を解決しただけでなく、データに基づいた細やかなメールアプローチまで実現させたのである。