オンラインでの購買行動が活発化し、EC市場も拡大したこの1年。企業・ブランドが顧客にアプローチする手段として、SNSの重要性は増すばかりだ。そこで、Instagramは2018年に導入した「ショッピング機能」をより拡充した「Facebook ショップ機能(以下、ショップ機能)」を2020年6月にリリース。FacebookやInstagramでオンライン上に「店舗」を構えるための機能強化が現在進行系で進んでいる。提供開始から1年を迎える同機能を効果的に活用する事例やD2Cビジネスを成長させるためのInstagram活用術、今後の展望について、Facebook Japanコマース事業部 Industry Managerの丸山祐子さんに話を聞いた。
独自の切り口で訴求ができるショップ機能
Instagramで日本の利用者向けにショッピング機能が導入されたのは、2018年。同機能は、ビジネスアカウントの投稿に商品名・価格など商品詳細情報が記載されたタグと自社ECサイトへの外部リンクを追加することで、利用者がInstagramで発見した商品の購入をスムーズにするものだ。これは日本のInstagram利用者との親和性が非常に高く、商品詳細にアクセスする利用者はほかの国の平均と比べて3倍にも上っている(2020年9月時点)。
「私たちが想像していた以上に、好意的に受け取っていただいていると感じています。そして、ショッピング機能をよりパワーアップさせる形で2020年6月にリリースしたのが、ショップ機能です」
ショップ機能の大きな特徴に、Facebook社提供プラットフォーム内でのUI統一がある。双方への出店を容易にすべく機能や登録手順を一元化し、共通の管理画面から投稿内容やショップの管理を行えるようにすることで、運用工数の大幅削減を実現している。また、UIにも手を加え、InstagramでもFacebookでも同じ見せかたができるようになった。
「双方で共通したブランドイメージを打ち出すことで、シームレスなショッピング体験が提供できる場を目指しています。管理画面からは背景の色変更などもできますので、独自性を出すことも可能です」
ショップ機能には「コレクション」と呼ばれる新機能が追加されている。たとえば、アパレルであれば「子ども服」「夏服」など、オリジナルの切り口で商品情報をまとめ、提示することができるようになった。ブランドの世界観や顧客の需要に合わせて商品を一覧表示できる上、利用者はInstagramアプリ内にある専用タブからも気軽に閲覧できる。Instagramショップと呼ばれる同タブは、利用者の興味関心に基づいてコレクションや商品を表示するため、親和性の高い新たな顧客との接点が増えていると言う。
「プラットフォームでは画一的な表現しかできない。こうした固定観念を取り払うべく、企業・ブランドらしさを表現できる仕組みに進化しました。今後も、ウインドーショッピングを楽しむ感覚で商品やブランドと出会えるInstagramショップを通じて、利用者により充実した購買体験を提供していきます」