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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.14特集「Evolution Fashion Commerce~DX推進で切り拓くアパレルの未来~」

実店舗主導で生まれる新接客手法 デジタルネイティブの個性をフル活用 ウィゴーが進める接客革命

 「お客様とつながりたい!」という思いがデジタル化を加速。多様なアイディアが生まれる環境作りの秘訣とは。 ※本記事は、2020年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.14』に掲載したものです。

 原宿や心斎橋のストリートファッションをコンセプトに、若年層を中心とした人気カジュアルショップを多数展開するウィゴー。2018年に実店舗出身の園田恭輔氏が代表取締役社長に就任して以降、より積極的に店頭の改革、デジタル活用を推進している。EC強化はもとより、SNSやYouTubeを活用したコンテンツ発信や世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」への出店、ライブコマースや1to1のデジタル接客への挑戦など、次々と新たな取り組みに着手するバイタリティはどこにあるのか。同社のデジタル戦略および基軸となる考えかたについて、デジタルマーケティング部長の小沢博之さんに話を聞いた。

株式会社ウィゴー WEGO事業本部 デジタルマーケティング部 部長 小沢博之さん

実店舗スタッフの肌感覚を重視 各店の個性が自社のカルチャーに

 「WEGO」の各店舗が運営するInstagramの投稿は、強烈なリアリティが特徴と言える。各店舗で働く実店舗スタッフが独自にテーマや表現を決めて発信する情報は、身近に感じられるものが多く、顧客から共感を集め、個人アカウントも多数のフォロワーを獲得するスタッフも存在している。また、一部店舗ではInstagramのビデオチャット機能を活用した1to1のオンライン接客やクローズドセールへの招待、ライブ配信や投稿で紹介した商品をDMや代引決済を利用して販売するなどのユニークな試みも行われているが、こうしたアイディアはどこから生まれるのだろうか。

「アイディアの原点は、実店舗スタッフの『やってみたい』という声です。彼らのほとんどは、生活の中に自然にデジタルがある世代ですし、日々お客様と接し、何が求められているかを肌で知っています。もともと個性的なスタッフが多く、各店舗の個性を活かすことで自社の個性を築き上げてきました。こうしたカルチャーをデジタルにも活かしたいと考えています」

 ファッション同様、デジタル施策にも旬がある。同社は、迅速に現場の声を反映することを重視し、アルバイトスタッフまで含めて気軽に発言できる文化を醸成。企画募集など、現場から積極的に声をあげる機会も数多く設けている。もともとこうした土壌があったからこそ、新型コロナウイルス感染症による実店舗の休業時にも各店から自主的な取り組みが考案され、迅速な実現に至ったと小沢さんは語る。

「新たな施策を行う際は、店長からアイディアベースの相談をされ、エリアマネージャー経由で企画書を受け取ります。もちろん上層部への確認も取るのですが、すぐにGOが出ることが多いですね。基本的には企画・実行ともに実店舗主導で、本部は迅速な決裁を行うように心がけています。ECサイトへの情報掲載やPRなどの支援は行いますが、あえて細かいルールは設けず、実店舗スタッフのアイディアを活かすことを重視しています」

 アイディアを考案した店舗が実際に施策を実現した後に、好評なものは他店舗への横展開を行うこともある。そうした際のレクチャーやノウハウ共有も、各店の店長がZoomなどのビデオ会議ツールを用いて行うなど、ウィゴーの取り組みはあくまで実店舗主導だ。小沢さんいわく、積極的な提案はスタッフ数が多い原宿や心斎橋、名古屋などから上がることが多く、地方の店舗もそれに刺激を受けて試すという好循環が生まれているとのこと。本部からは分析結果を共有するのみならず、ライブ配信の感想を直接実店舗スタッフにフィードバックするなどのバックアップも行っている。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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