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インバウンドビジネス最前線

北海道美唄市の地域おこし隊に外国人採用 「やさしい日本語」とセグメント集客で深みのあるインバウンドへ

 北海道の新千歳空港から車で約1時間30分、札幌駅から約1時間の場所にある美唄市。ここの経済観光課で2019年4月から地域おこし協力隊として働く、オーストラリア人のジェイムズ・マッキンタイアさん。美唄市を世界に広めるべく、日々奮闘している経済観光課の工藤賢さん。2人は連携しながら外国人と地元の人が「やさしい日本語」を使って交流できる場を模索している。一過性の外国人旅行者数を追いかけるインバウンドではなく、滞在型インバウンドという新しいスタイルで挑んでいる、その思いを聞いてみました。

地元の人と日本語で話す長期滞在インバウンドを 北海道美唄市

――ジェイムズさんは美唄市市役所でどんなお仕事をされているんですか?

ジェイムズ 僕は地域おこし隊として、美唄にやってきた外国人と地域の人達が交流できるような環境作りを行っています。たとえば、駅の近くにあるホテルのロビーの一部を間借りして、パンフレットやモニターを置かせていただき、美唄市の観光情報を発信しています。そこに喫茶スペースのような場所があるため、地域の人たちと交流するようなことも行っています。

地域の人たちは、まだ外国人に慣れていないので、まずは僕とお話することで、外国人に慣れてもらえたらと。僕も美唄に来た当初感じたのですが、地元の人は外国人を見ると驚いてしまって、とてもじゃないけど会話はできません。また、以前は英語で話すというコンセプトで交流を行っていましたが、うまくいきませんでした。

そこで「やさしい日本語」(参考記事)での会話を取り入れるようにしました。その結果、地元の人たちも英語よりは壁がなくなり、外国人と話しやすい環境ができたかと思います。もちろん、外国人旅行者の母国語を使うのが一番良いのですが、なかなかそれは難しい。地元の人も外国人も、誰もがわかる簡単な「やさしい日本語」を使うほうが楽かもしれません。

僕が願っているのは、日本語を話すことそのものを“こと体験”にしたいということです。日本語を学んできた外国人が美唄市に来れば、自分がわかる日本語で話してくれるという体験をさせたいのです。すると母国に帰ってからも思い出になるし、美唄で人とのつながりができて、また遊びに来てくれるかもしれません。僕の外国人の友人たちもよく言っているのですが、日本語をテキストで学んでも話す機会がないんです。その悩みが、美唄に来れば解消できるかもしれません。

ある時、散歩をしていたら綺麗な夕焼けが出ていたので、近くにいたおばあさんに「きれいですね」って声をかけたんです。その流れでいろいろおしゃべりをしていると、僕の知り合いがそのおばあさんも知り合いだということがわかって。「その人は今、元気にしていますよ」と教えてあげたら、すごく喜んでくれました。簡単な日本語での会話でしたが、僕が話した日本語が役に立ったことがすごくうれしかったです。多くの外国人がこのような体験ができる環境を作ることができたらと思っています。

工藤 インバウンドの教育旅行に近いのですが、そこまでかたくない。たとえば、NHKの英会話講座には、簡単な英会話を繰り返してマスターしていくというものがありますよね。それの「やさしい日本語」バージョンで、外国人が「やさしい日本語」で会話ができる環境を作れたらいいなと思っています。もちろん、旅行目的でのインバウンドも受け入れたいですけれど、滞在して町の人と交流する外国人を増やしていきたい。そんなコミュニケーションができるところを、美唄市の強みにしていきたいと思っています。

今(取材時点)、地域おこし隊としてジェームズ君を含めて3名の外国人(台湾人、フランス人)が在籍しています。5年ほど前から外国人を採用し始めたのですが、私が知る限り、北海道の地域おこし隊で外国人を採用したのは美唄市が初めてだったのではないでしょうか。

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この記事の著者

浦澤 修(ウラサワ オサム)

ライター・編集/株式会社オージャパン 代表取締役 浦澤修

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/8247 2020/09/21 07:00

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