実店舗の接客支援まで ECだけにとどまらないアパレルAIのマルチな活用事例
ここで、実際に#CBK scnnrを導入しているニッセンの木室氏が壇上に呼ばれた。木室氏はニッセンが運営する日本最大級のアウトレットモール「BRANDELI(ブランデリ)」の事業責任者を務めている。600を超えるブランドのA品だけを取り扱い、ブランド側が倉庫に商品を納めるだけで、ささげから商品撮影までをBRANDELI側が代行してくれる。
BRANDELIはアウトレットという特性上、扱う品番数が3万と多い一方で1品番あたりの奥行きがないため、商品ページの作り込みがしにくいという課題を抱えていた。そこで#CBK scnnrが提供する「類似アイテムプラグイン」という機能を導入した。この機能は、AIが商品画像を認識し、画像に写り込んだ全アイテムの類似商品を自動でレコメンドできるというものだ。
「一般的なレコメンドのように、よく閲覧される商品が表示されるのではなく、画像に写り込む靴やカバンなどすべての商品が幅広くレコメンドされる点に魅力を感じました」(木室氏)
毎日新着アイテムが更新されるBRANDELI。メルマガも毎日配信されており、商品やキャンペーンの案内が主な内容となるが、コンテンツのマンネリ化が悩みの種だったという。そこで、ニューロープが運営するマガジンサイト「#CBK magazine」の記事内で紹介されたアイテムに似た商品をBRANDELIで購入できるよう新たな導線を作った。木室氏は実施の手応えをこう語った。
「当該記事はメルマガでも取り上げているので、会員に最新のトレンド情報をお届けしつつ購買へもつなげることができています。パラメーターを設定するだけなので運用が楽な点もポイントが高いです」
酒井氏は他にもディノス・セシールとのユニークな取り組みを紹介した。カタログ通販で知られる同社だが、#CBK scnnrのAI技術によって顧客の購入データとInstagramの投稿などから抽出した旬のコーディネート例を掛け合わせ、顧客別にパーソナライズされた小冊子を発行している。この取り組みは第33回全日本DM大賞でグランプリを受賞した。
#CBK scnnrの技術はECだけにとどまらない。実店舗に来店した顧客のコーディネートをデジタルサイネージで捉え、そのコーディネートにマッチするアイテムを画面上に提案する接客支援も行うことができる。また、監視カメラの映像から来店客のコーディネート、表情、年齢などを分析してマーケティングを支援することも可能だという。他にも、AIにファッションアイテムの柄を大量に学習させてオリジナルの柄を生成するなど、可能性は広がるばかりだ。