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ザ・ボディショップが挑戦する「香りの可視化」と、その先に目指すもの

ECサイトで五感を表現する方法とは?
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 経済産業省が2019年に発表した「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2018年日本国内BtoCのEC化率は6.22%。一方で、化粧品・医薬品は5.80%となっており、日本国内全体と比較すると低い水準です。医薬品を含んでいるので純粋な化粧品EC化率ではありませんが、今回のコラムでは、なぜ化粧品のEC化率が低い水準なのかを考えながら、ザ・ボディショップが挑戦する「香りの可視化」についてお伝えします。

現在のECサイトで表現できていない「感覚」とは

 ECサイトは、人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)に訴える販売があまり得意ではありません。

 ところが、スマートフォンの登場・モバイル回線の高速化により動画の制作コストが低下。動画コンテンツが普及したことで、ECサイトにおいても「視覚」「聴覚」に訴えかける販売ができるようになりました。近年では、ライブコマースが盛り上がりを見せはじめましたね。

 しかし、現在でも「嗅覚」「触覚」に関してお客様に明確な提案を行っているECサイトは、ザ・ボディショップを含め少ないと感じます(「味覚」に関しては、今回のコラムで取り扱うジャンルが化粧品ということもあり割愛させていただきます)。「嗅覚」「触覚」は、化粧品においてお客様の重要な購買基準です。言葉を変えると、嗅覚は「香り」、触覚は「テクスチャー・使い心地」となります。

 もちろん、各社がテキスト・画像・動画などを使って、「香り」「テクスチャー・使い心地」をECサイト上で表現しようとしています。しかし、実店舗で試す体験にはいまだ遠く及びません。この差が、化粧品のEC化率が低い水準にあるひとつの要因でないかと考えています。また、逆説的な言いかたとなりますが、この差を埋めることによって、EC化率が上がる=お客様がもっと自由に買う場所を選べるようになる、と言えます。

ザ・ボディショップにおける「香り」の重要性

 ザ・ボディショップの製品も例外ではなく、香りとテクスチャーはお客様の重要な購買基準です。代表的なラインで例を挙げると、「ピンクグレープフルーツ」や「ストロベリー」などのフルーツの香り、「モリンガ」や「ブリティッシュローズ」などの花の香りがあります。 保湿用ボディクリームも、「ボディバター」「ボディヨーグルト」など、テクスチャーによって製品ラインが分かれています。

 では、ザ・ボディショップのお客様にとって、「香り」と「テクスチャー」どちらが重要なのでしょうか? 定量的に見るため、ザ・ボディショップのサイトにある商品レビュー約2万5,000件を調査しました。

図の作成:イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)

 低評価レビュー(☆1・☆2)では38%、高評価レビュー(☆4・☆5)では65%が、香りについて書かれていました。非常に興味深いのは、どの評価も香りの構成比が非常に高いことです。そして、高評価になるにつれて、香りの構成比が上がっていきます。

 この結果から、仮説として「ザ・ボディショップのお客様は香りを期待して購入される方が多い。そのため、お客様と香りの相性が良ければ高評価がつきやすく、反対にミスマッチが起きれば、低評価がつきやすい」ことが考えられます。そして、ザ・ボディショップのお客様は、香りを重要視していることがわかりました。

 ここで、商品レビューを集計する中で非常に印象に残ったものをご紹介します。

図の作成:イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)

 ひとつめのレビューのお客様は、香りの確認を諦めてしまっています。ふたつめのレビューのお客様は、今後新しい香りが出ても、ECサイトで買う可能性は非常に低いと考えられます。

 このふたつのレビューは、数で見ればたったの「2件」かもしれません。しかし、「私たちの目に見える形」となって現れる声はごくごく少数であるということは、販売に携わる多くの方が理解しているでしょう。このレビューを見たとき、私たちは非常に危機感を抱きました。

※この続きは、会員の方のみお読みいただけます(登録無料)。



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連載:ザ・ボディショップが挑む、「香り」と「接客」のオムニチャネル化

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