調査結果からみるコミュニケーションチャネルの選択と設計
とはいえ、盲目的にオンラインシフトを取り入れるのも、ケースによっては考えものです
総務省情報通信政策研究所による、『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』というレポートがあります。全体的な傾向として、従来マスメディアの劣勢と、ウェブメディアの勃興を世論に強く印象づけるもとになっているものです。このレポートを少し掘り下げてみると、年代別に詳しく各メディアの接触状況が集計されており、年代ごとに大きく違った傾向を示しています。
最新版ではH29年度版のレポートが出ています。確かに50代より若年世代では全体的な傾向の通りで、殊に10代・20代においては顕著にテレビ・新聞離れの状況が表れ、替わりにオンラインの浸透ぶりが顕著です。しかし、60代以上においては、全体傾向とは異なる状況が見えてきます。テレビは未だ圧倒的な存在感を示しており、新聞はネットよりも利用者が上回っているのです。
また、電通メディアイノベーション研究室による、『キュレーション時代のニュースとメディアのゆくえ』というリサーチもあります。こちらは、各メディアに対する信憑性を年代別に調査したものです。詳細は是非、原典を見ていただきたいのですが、40代を境にして、非常に対象的な結果が出ています。若年層は、「マスメディアなんかあてにならない。真実の情報はネットをさがしてこそ見つかるもの」といった風潮なのですが、逆に高齢者は「ネットなんかフェイクニュースとか嘘ばかり。信頼できる情報はマスメディアにこそ存在する」とでも言いたげな、真逆の結果が出ています。これはひとえに、オンラインメディアに対するリテラシーの差が生んでいると思われます。
もしビジネスで高齢者向けの商材を扱っているのならば、オンライン偏重になりすぎることなく、全体最適となるコミュニケーションチャネルを選択、設計するように心がけてください。