売上アップのための5つのアプローチ
前回は、新規獲得フェーズの広告からリピート引上・育成にいたるCRMの領域を、一連の流れとして俯瞰して捉えることについてお話しました。今回で、広告とCRMの全体像の話は一区切りとなります。次回以降は、それぞれ個別フェーズでのノウハウに踏み込んでいきます。
それぞれ個別の領域について話し始める前に、事業者としてまず心に留めておいていただきたいことを、今回はお話しします。
広告とCRMを用いて目指すものは、製品の真価を引き出し、顧客の納得を最大化するため、ということをこれまでの連載でお話してきました。では、それが結果として現れるものは何であるか、といえば、当然事業収益の拡大になります。
収益を上げるには、売上を上げるか、費用を下げるか、のどちらかです。そのうち、売上を上げるためのパターンは基本的に次の5つに集約されます。
1)Up Selling たくさん買う
同時に複数個の購入を促す手法。「縦積み」とも呼ばれます。既に製品を気に入ってくれているユーザーに向けた、継続CRMのフェーズで効果を発揮する手法です。
2)Repeat Selling 何度も買う
EC・通販事業者にとって、もっとも大事な手法です。製品の良さをしっかりと認識してもらったうえで、長く付き合いを続けてもらえることを目指します。
3)Up Greading 高いものを買う
プライスラインを上のランクに移行してもらう手法。複数のライン展開をしている場合に用いられます。
4)Cross Selling 他にも買う
ベースとなる2があった上で、そのついでに他の物も買ってもらう手法。コミュニケーションが必要な割には単発の売上にしかならず積み上げが薄いため、効果を出しにくい手法でもあります。
5)Referral Selling 他の人も買う
好意的な購入者が周囲へインフルエンサーの役割を果たすことで購入を後押しする手法。友人紹介プログラムなどがこれに当たります。2とならんで収益インパクトが大きく、大事な手法です。
上記の内1と3と4は、EC・通販事業者の間でも混同されていたり、人によって違った意味で使われたりすることが多いので、注意が必要です。
リピートビジネスを行う事業者にとっては、2と5は特に重要度が高いものです。また、意外に思われるのが4ではないでしょうか。業界的に馴染みの深いワードでもあり、パートナーから提案される機会も多い取り組みですが、実態としてはさほど大きな効果を見込めないことも多いもの。その効果をちゃんと試算して、労力を割く優先順位を検討しましょう。