違和感の例2.感性系の違和感
もうひとつは「感性系の違和感」です。これがたいへん多岐に渡るのですが、総じて言えばそれぞれのコンテンツとしては違和感がないにもかかわらず、組み合わせとしては違和感があるというパターンに属するかと思います。
いくつか例を挙げれば、数百万円の着物の横に「5千円以上送料無料」と書いてあったり、高級食材の説明文が「~食べ“られ”ます」ではなく「~食べれます」であったり、詳細は割愛しますが商品価格帯とデザイン&テーマカラー&フォントなどの不一致などもそのひとつです。
色彩やフォントと価格帯は強い関連性があります。看板がオレンジの牛丼屋とこげ茶色の牛丼屋→いくらぐらいの価格帯を想像しますか?では、明朝体と丸ゴシックがイメージする価格帯は?
他、色彩やフォントだけでなく「文体」と「商品価格帯」の不一致などもありますし、感性系の違和感がいかに多岐に渡るかの例として……「カワイイ系」ファッション雑貨ショップの社長の写真が「いかにも体育会系の角刈り」で、社長挨拶の冒頭が「当社は昭和◯◯年に創業以来、精進を重ねて参りました。云々~」。そして、社長の写真と挨拶を削除した日からCVRが急上昇。社長はとっても寂しそうでした(笑)。ショップ名が特定できないように少し脚色はしていますが、もちろん実話です。
また、検索サイトなど外部からのユーザー流入に対するLPO(ランディングページオプティマイゼーション=リンク元の広告文やサイト説明文などと、リンク先ページの内容の一致)も感性系の違和感の排除に相当するかと思います。
CVRの向上という課題に向き合う際、どちらかと言えばUI=機能面での「選びやすさ」「使いやすさ」などに重きを置きがちですが、今までの経験で言えばCVRへの影響は「感性系」のほうが大きいと思います。筆者の私感ではありますが、どちらかと言えば大規模サイトほど「全ページ共通」のコンテンツと「個別商品」との間に不整合が起こりやすいようです。
データベースからの商品ページ制作と個別ページのカスタマイズの度合=違和感の排除については業務負荷とのバランスも考慮する必要があり、一朝一夕で改善するのは難しいのですが、各コンテンツの小さな改善の積み重ねが全体のCVRを左右することをお忘れなく。
第1部まとめ
CVRの向上とは、集客数が同じでも売上を伸ばせるということであり、外的要因に左右されず自助努力によって売上が伸ばせるということでもあるのです。
また、購買率が高いショップとは総合評価としてのクオリティが高いとも言えます。100人中0.5人しか買わないショップと2人買うショップ、どちらがクオリティが高いショップでしょうか、ということです。
ちなみに同業他社の中でCVRが抜きん出て高くなると、特に何もしなくても時を経るにしたがってさらにCVRが向上するという現象が見られる場合があります。他店と比較した結果、「この店で買おう」と思うお客様が徐々に流れ込んでくるからです。
この点から見ても、感性系の違和感の排除は特に重要な課題となります。一方「コンテンツを作った本人」は違和感がないからこそ、そのままサイトにUPしているのです。また、サイトを「見慣れている人」ほど違和感が「薄れていきます」。つまり「内部の人」には「発見がたいへん難しい課題」です。
新人のアルバイト君などが発見してくれる例などはよくある話ですが、いずれにしても「外部の目」が必要となるでしょう。定期的なチェックをお勧めします。