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永遠の課題「CVR向上」の根底にあるもの【特大編】

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商品に触れることも画像を見ることもできないラジオ通販が
売れる理由

 読者の皆さんはラジオの通販番組を聞いたことがありますか?実際の商品に触れられないのはECサイトと同様ですが、ラジオ通販は画像もありません。それでも売れるのはなぜでしょうか。ラジオ通販は商品を見せることができないというハンデはありますが、共通点の見地から考えると、ECサイトに比べて優位性があるポイントを複数持っています。

 ひとつは、お客様候補とも言えるラジオリスナーはECサイトのような離脱がほとんどないということです。テレビのようにチャンネルを回しながらラジオを聞くというケースは少ないので、その分、離脱率もテレビより少ないはずです。従って起承転結にあたる訴求の順番は、売り手の設計通りに進めることができます。お客様の想像を喚起するにあたって、

 起承転結を効果的に使えることはうらやましい限りです。ECサイトなども、そういった意味ではある程度の起承転結を盛り込むことができると思いますので、研究してみるのも面白いかと思います。

 もうひとつは、お客様から見ての信頼醸成が既に十分あることです。ラジオ局が売っているものであれば品質に間違いはないであろう、返品などにも応じてくれるだろうという安心感の元で商品訴求ができるのです。前述のシーン2(口コミで聞いて何かを注文する場面)では、口コミという情報がお客様の想像を喚起するトリガーとなりましたが、トリガーには想像を喚起する要素が信頼に足りること、という成立条件があります。付加価値を構成する物語や情報にしても、信頼度が十分でないと想像の喚起ができません。

 お客様がスペックやクオリティ、あるいは物語などの要素から「満足している未来の自分」を想像できるか。そしてその未来を信じることができるか、が購入を決心するカギとなります。購入に際して大きな勇気が必要な高額商品などは、お客様の想像にも否定的な部分が含まれ始めます。お客様の想像の喚起には、否定要因を一つひとつ解消してゆくこともお忘れなく。テレビ通販などでは「収納時はこんなにコンパクトに」「手も汚れません」など否定要因の解消についても、かなり意識的に訴求をしています。ECサイトではメリットの訴求にコンテンツが偏る傾向にありますので、このあたりも工夫されてみてはいかがでしょうか。

「何を買うか」のステップでは、価格は参考情報程度

 さらにもうひとつ。ラジオのアナウンサーという伝えるプロがお客様の想像を掻き立てているということが、実は最大の強みかもしれません。様々な場面をわかりやすく伝える、つまり正確に想像してもらうために抑揚や間の使い方などの訓練を受けた人がアナウンサーです。素人の朗読とアナウンサーの朗読のごとく、その訴求力には段違いの差があります。

 ECサイトのデザインやレイアウトなどもこれに相当するかと思いますが、プロとアマの差は歴然です。レイアウトやデザインはレストランのインテリアなどと同様に、“美味しさ”というクオリティを想像させる重要なアイテムなのです。

 いや、とは言っても、実際の料理は悪いウワサが出ない程度のクオリティさえあればいいのかも。売上を決定づけているのは店構えやインテリア。注文前にクオリティを想像させるモノはこれだけだし。だって、美味しいから売れるのではなく、美味しそうだから売れるのでは? 

 たとえば「化粧瓶の香水」と「徳用パックに入った香水」について考えてみてください。もちろん品質=クオリティはまったく同じです。仮に徳用パックの香水は売れないとすれば(徳用パックでもたとえば洗剤であれば売れるのに)、マーケティングの責任者はその理由を明確に答える必要があるかと思います。

 ちなみに、前述の【初めての居酒屋】のお題ですが、購入を決心した時点では、実は価格もあまり関係がないのです。居酒屋の暖簾をくぐる前に「これから注文するすべてのメニューの価格」を確認する人は少数派。価格については、立地と店構えから適当にアタリをつけて入店するのが大多数でしょう。店としては「何が注文されるか?」は未定ですが、「何かが注文されること」はほぼ確定、入店=購買率100%という構図です。

 つまり、このような順番になるかと思います。

  1. 「どこで買うか」の方が「何を買うか」よりも先に決心されている
  2. 「何を買うか」のステップにおける価格は、購入の決心の際の参考情報程度に使われている
  3. 注文後にやっと「商品のクオリティ」が評価される

 デパートで服を買うシチュエーションでもほぼこのステップを踏みますが、ECサイトで言えばサイトデザイン全体の雰囲気や会社案内、店長紹介などの信頼醸成コンテンツが、居酒屋の店構えに相当するかと思います。これらを参考に、様々なコンテンツ群を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

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