MA、テキストマイニングシステムを立て続けにリリースした狙い
エイジアがこの3つを掲げたのには、消費者と直接コミュニケーションを行っている、事業者側のマーケティング施策の変化によるところが大きい。
「レコメンドエンジンとWEBCASを連携してメール配信されていた大手アパレル企業様が、ある時、レコメンドエンジンをDMPに切り替えられました。そして、メッセージチャネルとして、LINEやアプリのプッシュ通知にも対応したいとのご相談をいただくようになりました。同様の変化、ご相談が、別業種のさまざまな企業様からも寄せられるようになってきたのです」
これを受けてエイジアがリリースしたのが、マーケティングオートメーション「WEBCAS Auto Relations」だ。年商1億円以上の売上規模を対象とするサービスだが、6月に提供開始するやすぐに採用が決定。その後も問い合わせが相次ぎ、順調なペースで契約が進んでいると言う。
「EC事業者の中ではレアケースですが、最近、メッセージチャネルとして、メールをやめてLINEに絞る事業者様もいらっしゃいます。しかし、メールの効果がまったくないわけではなく、LINEとメールを統合運用する環境構築ハードルの高さや、コスト・リソース不足などの問題で、やむをえず片方を切り捨てたというのが現状ではないでしょうか。
理想は、『メールを開かなかったお客様にはLINE、それでもダメならDMを送る』など、チャネルをまたいだ効果的な運用を実現することのはずです。今、多くの事業者様が、それぞれのチャネルでばらばらに施策を検討されていますが、今後はデータを統一し、さまざまなメッセージチャネルの中から、自社の顧客に最適なものを選択したり、チャネルを組み合わせたシナリオを運用したりしていくようになるでしょう」
顧客により、メッセージチャネルとタイミングを自動で最適化する。この実現のためにデータを統合し、分析するわけだが、先に藤田さんが問題提起したとおり、より顧客を深く分析するためには、従来の定量データを用いたRFM、LTV、相関分析以外にも、「定性データ」の活用が必須になると言う。エイジアでは、その分析ツールとして、テキストマイニングシステム「WEBCAS Sense Analyzer」を開発した。
「EC事業者様であれば、商品レビューやアンケートを積極的に取っていらっしゃると思います。これらの定性データを分析するのが、テキストマイニングシステム WEBCAS Sense Analyzerです。たとえば当社では、営業担当者が商談内容をすべてテキストに起こしているのですが、それを活用して、製品軸や顧客軸でプロットできるようになり、次の活動に活かせるようになっています。
とはいえ、こうしたコメントを寄せてくださるのは、全顧客のうちの一部でしかありません。それを施策に取り入れてよいのか。その課題を解決するために、広告の世界では当たり前に行われている、オーディエンス拡張を行っていく必要があると考えています。そこでも、人工知能の出番だと考えています」
あらゆる業界から注目が集まる、人工知能。エイジアでは2015年10月に、元マサチューセッツ工科大・人工知能研究所・客員研究員である野村直之さんが代表をつとめる、メタデータと資本提携を行った。テキストマイニングシステム「WEBCAS Sense Analyzer」も、メタデータから技術供与を受けてできたものだ。