効果測定ができればクーポンはコントロールできる
第1回ではリアル店舗でのクーポン施策の効果測定方法、第2回ではECサイトでのクーポン試作の効果測定方法についてお話ししました。結論として、「A/Bテストを実施すれば、クーポン施策の成果が測定できる」ということでした。
この話をすると、多くのECサイト担当者さんの考えかたがガラッと変わります。 クーポンに対して「一度使ったらもう元には戻れない」、麻薬のようなイメージを持っていることが多いのですが、きちんと施策の効果測定をすれば、マーケターの手腕でクーポンの成果や施策の利益をコントロールすることができます。
前回もお伝えしたとおり、重要なのは「クーポンをどのように配布するか」です。
思考停止状態で全員にクーポンを配りまくるのは難しいことではありません。しかし、それでは利益をコントロールすることはできません。
- 短期的な売上は上がったけれど、利益率は大幅に下がってしまった
- 広告予算と合わせてみると赤字だった
- 値引きしなければ顧客がリピートしなくなり、LTVが下がった
などなど、クーポンのバラマキによるデメリットは枚挙に暇がありません。このようなことをやってしまうと、クーポンは「麻薬」となってしまいます。
繰り返しとなりますが、クーポン施策の「利益」にこだわるなら、いかにして「クーポンがなくても買う人」に対する配布を控え、「クーポンがないと買わない人」に届けるかが重要なのです。
最終回の今回は、「クーポンがないと買わない人」にクーポンを効果的に配布していく手段を考えていきたいと思います。
お金をかけずにクーポンを配布して効果測定までする方法
さて、ここで少し考えてみてください。あなたが上司から「クーポン施策に取り組んでくれ」と命じられたとしたら、どうやって実現しますか?
多くの人が、カートシステムについてくる「クーポン機能」を思い浮かべるのではないでしょうか。しかしこれは、「決済時にクーポンコードを利用して割引金額を提示する機能」であり、特定のお客様にクーポンを配布するものではありません。
やはり、サイトを訪れるユーザーに、何らかの手段でクーポンコードを配布する必要があります。
有料のクーポン配布ツールを利用せずにクーポンを配布したいのであれば、たとえば発送する商品にクーポンコードを印刷して同梱するのがお手軽です(ECサイトの商品発送を自社で行っている場合に限ります)。この方法であれば、A/Bテスト方式でクーポン施策の効果測定も行うことが可能になります。
まずは、利用しているカートシステムから、翌月末まで有効なクーポンコードを発行します。次に、商品発送時に「会員IDが奇数の人だけに」クーポンコードを印刷して同梱します。そして、翌月の売り上げを集計し、会員IDが奇数の人と偶数の人の売上を比較することで、クーポン施策の効果を測定することができるのです。