地元愛に驚き! 関東地方の「あの県」がなぜか売れる
地元を大事にし、店舗から顧客との接点を探った上で、オンラインストアで門戸を広げたMap Design GALLERY。特にオンラインストア展開後、顧客の行動・購買データを可視化する中で「ニッチなものほど深く愛される手応えを得たことが、自信にもつながった」と山口氏は振り返る。
「前述の通り、『Map Design GALLERY/有人離島』のようなコアな商品が売れるのもMap Design GALLERYならではだと思いますが、商品の売れ方にもお客様がもつ地元への愛着がうかがえます。
たとえば、Map Design GALLERYではなぜか群馬県の商品が人気なんです。店舗がある九州地方や人口の多い東京都、神奈川県などが上位に入るのは想像がつきますが、47都道府県分の商品を一斉に販売して、群馬県が売上1位になることもあるほどです。私も群馬県出身なのですが、驚いています」
また、シーズン別の販売傾向にもこうした「地元愛」は垣間見られるそうだ。
「3月、4月の新生活シーズンにはギフト需要が増加しますが、どうやら上京する家族や友人に『地元を忘れないでね』といった意味合いで買われるケースが多いようです。私自身、Map Design GALLERYを通じて地図や都道府県が単なる形としてではなく、人々の心の中にアイデンティティとして刻まれていることを痛感しました。商品を通じて、人と人との絆をつなげられていると思うと嬉しいですね」
欲しい人に届ければCVR100%も目指せる? 今後の展望は関係深化
山口氏はMap Design GALLERYの今後の展望について、「OMO」と「顧客との関係深化」をキーワードに挙げつつ、次のように語った。
「Map Design GALLERYでは、マス向けではなくニッチな需要に向けた商品も多く扱っています。『Map Design GALLERY/有人離島』のコンプリートボックス販売時に約60%と驚異的なCVRを記録したのですが、このように“刺さる人には深く刺さる商品”を今後も増やしていきたいです。
また、空港や観光スポットの近隣施設といった少し非日常な場所、地図型の商品を思わず手に取りたくなるような場所にPOPUP出店するなどして、顧客接点強化にも取り組んでいきたいです。やはり、店舗を通じて実際にブランドに触れた後のほうが、安心してオンラインストアでも買い物ができると思います。2025年12月より会員プログラムも開始したので、この仕組みを生かして店舗とオンラインストアをまたいだ購入や、リピーターに向けた施策強化も進めていく予定です。Map Design GALLERYを愛してくださるお客様にメリットを提供し、さらに楽しんでいただけるブランドを目指します」
ゼンリンの挑戦は、企業の中に眠る資産と消費者のピンポイントな需要をアイデアで結びつける好例といえよう。その商品力から生まれる新たな市場と強い結びつきに今後も注目したい。
