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世界へボカン 徳田氏が迫る グローバル・越境EC挑戦のリアル

インバウンド理解を深めるセレクトショップ・日本百貨店 越境ECのヒントを探す店頭DX推進のススメ

[動画あり]店頭→Instagram展開 副産物として見えたAI検索対応も

浮ケ谷(日本百貨店) とはいえ、4,000種類すべての商品に日本語と英語のPOPを付けてしまうと、売り場が情報過多になり、かえって混乱を招く懸念もありました。そこで徳田さんから教えていただいたのが、店頭の一角に置きやすいサイズ感のデジタルサイネージです。現在は「お茶」「わさび」「北海道」など、インバウンド需要の高いカテゴリーや地域を軸に、売上ベスト3を紹介する動画を店内各所で流しています。

店内に設置されているコンパクトなデジタルサイネージ
店内に設置されているコンパクトなデジタルサイネージ。動画で目を引きつつ、複数商品を紹介することで限られたスペースで発信できる情報量を増やしている

徳田(世界へボカン) 食品は「どうやって食べるか」といった説明が必要ですし、「パッケージからノンバーバルで魅力が伝わるか?」と冷静に見ると、難しい商品も多いです。本当は海外のお客さまでも楽しめる商品なのに伝わらないのはもったいないので、動画が良いとお伝えしました。

浮ケ谷(日本百貨店) 実際にサイネージを導入してみると、スタッフの接客を補ってくれるコミュニケーションツールになっているなと感じました。店頭には本当にいろいろな商品があって、それぞれに日本語のPOPを付けているため、どうしても売り場の情報量が多くなってしまいます。動画はパッと目に入りやすいので、インバウンドのお客さまが情報を探す手間を減らせますし、1台のサイネージで複数の商品を紹介できるので、スペースの有効活用にもつながっています。

徳田(世界へボカン) こうした取り組みを始めて得た成果や発見はありますか?

浮ケ谷(日本百貨店) インバウンド向けに日本を紹介するインフルエンサーとコラボした投稿では、再生回数が伸びただけでなく、フォロワー数も増えました。動画の見せ方や編集の工夫なども学ぶことができ、とても参考になりました。

浮ケ谷(日本百貨店) あとは、来店されたお客さまにインタビューした際に「ChatGPTが教えてくれた」と答えが返ってきたのも驚きましたね。AIに情報を拾ってもらえるような対策は特にしていないのですが、これから目を向けなければならないのだなと改めて感じさせられました。

徳田(世界へボカン) ChatGPTが紹介してくれたのは、UGCなども含めて「○○を買うなら日本百貨店がおすすめ」という情報がインターネット上に既にたくさん存在するからだと思います。過去の蓄積をより生かしていけると良いですね。

浮ケ谷(日本百貨店) 「AI対策」を目的にはせず、SEOと同じように「顧客体験の改善が本質」だと考えています。顧客体験が優れていれば、自然と個人やメディアに日本百貨店が紹介され、その情報が“信頼できるもの”としてAIにも取り込まれる━━そうした状況を作っていきたいと思っています。

 そのためには、店頭での顧客理解をより深めることが欠かせません。現在は会計時に店舗スタッフが「年代×性別」といった属性をPOSに手入力していますが、来店して購入に至らなかったお客様については、把握できていないのが課題です。

 そこで、画面への視線から年代や性別、視聴コンテンツや視聴時間を計測できるカメラ付きサイネージを新たに導入することにしました。横長モニターの右側には動画、左側には商品情報の静止画を表示し、どのコンテンツが興味を引いたのか、響かなかったのかを分析。購入に至らなかったお客様も含めた顧客理解に、生かしていきたいと考えています。

日本百貨店が新たに導入を決めたカメラ付きサイネージ
日本百貨店が新たに導入を決めたカメラ付きサイネージ

徳田(世界へボカン) データが集まれば、売り場の作り方も変えていけますし、越境EC展開する際にも対応国や扱う商材が決めやすくなりますから、戦略そのものが立てやすくなりますね。

浮ケ谷(日本百貨店) 自社のマーケティングだけでなく、今は地方自治体や地域の商社、メーカーから委託を受けて販売支援もしています。これまで取れなかった顧客データが活用できるようになれば、もっと価値あるフィードバックを返せるようになると思っています。

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シンガポール在住時に見えた日本の魅力と弱点 今後の戦略は?

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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