“売る”を起点にブランドスイッチがわかる 意外な活用方法とは
田中(Yuwai) なるほど。とても興味深い見解ですね。しかし、CtoCプラットフォームだと、ユーザーはなんとなく開いて中古品を購入するイメージですよね。そんな中で新品を購入するユーザーがいるのか、疑問は残ります。
赤星(メルカリ) カテゴリーによって様々ですが、広告経由で新品の購入につながっている事例もあります。
中古品で良いものは、無理に新品を訴求する必要はないと思っています。一方で、中古では購入しづらい商品、具体的には化粧品や健康食品などは、メルカリAdsとの相性が良いです。カテゴリーを絞ってアプローチすれば、中古品を探しているお客さまでも新品に興味をもってもらえるとわかっています。
また、実は広告訴求によるチャンスがあると感じているのが、サービスなどの無形商材です。まだ移り変わりが激しいですが、直近の傾向では広告出稿のうち有形商材と無形商材が6対4の割合となっています。
田中(Yuwai) たしかに、訴求するのはモノだけとは限らないですね。

赤星(メルカリ) 無形商材の場合だと、人材系サービスでCPAが20分の1になった事例が生まれるなど、一定の効果が得られています。当社が「メルカリ ハロ」というスキマバイトサービスも提供している点が大きいでしょう。加えて、当社はコード決済サービス「メルペイ」も提供しているため、中には資産運用などに興味がある方も多いと思います。
つまり、メルカリのアカウントを持つお客さまの関心ごとが、必ずしも買い物だけではないということです。メルカリ ハロやメルペイを通じて得たデータを活用すれば、広告配信のターゲットを定めやすくもなります。
ちなみに、メルカリには、女性のお客さまのほうが比率的には多くいらっしゃいます。また、年代別に見ると10代~30代がボリュームゾーンで、広告主にとっては魅力的な構成比だとも感じています。マーケティングに生かせる強みの一つですね。特に、若年層かつ女性に向けた商品は、広告効果がより得やすいと予測します。
田中(Yuwai) メルカリに集まってくるユーザーのデータを深掘りすると、おもしろい発見が多そうですね。
赤星(メルカリ) そうですね。まだまだ分析しきれていないですが、データ活用には大きな可能性があります。
メルカリで1番ユニークなのは、やはりお客さま自身が商品を“売る”という行為が存在している点です。どこのECプラットフォームでも、なかなか起きない。この特徴によって、ブランドスイッチの瞬間をデータとして捉えられるのではないかと仮説を立てています。
例を挙げると、メルカリにiOSのスマートフォンが出品されていた場合、お客さまはAndroidに買い替えを検討しているかもしれません。そうしたお客さまに向けて、新しいスマートフォンの広告を表示するといった施策が考えられますよね。ほかにも、大型家電が売り出されていたら、「この人は引っ越しをするのかな」と予測できます。広告事業だけでなく、データを軸とした新ビジネスのチャンスもあるはずです。