決済フォームの変更だけで購入率7.9%増 取り入れやすい施策を紹介
──ここまでの事例を聞くと、やはり決済は“守りの戦略”という印象をもちますが、売上成長を加速する“攻めの戦略”としても活用できるとお聞きしました。
元重 そのとおりです。たとえば、当社が提供するダッシュボードでは、若年層が契約しやすいクレジットカードブランド、銀行発行のものなどと、顧客が利用しているクレジットカードのブランドを閲覧できます。このデータによって、顧客がどの程度の世帯収入なのか判断可能です。有償サポートだと、クレジットカードの発行会社ごとの分析までも確認できます。
仮に富裕層向けのクレジットカードを利用している人であれば、ラグジュアリーな商品を積極的にレコメンドするといった施策が考えられます。また、利用されているカードブランドから顧客に若年層が少ないと予想できる場合は、SNSでのアプローチを増やすきっかけになるでしょう。

元重 ほかにも、興味深いマーケティング施策があります。決済フォームの形式は、どのECサイトでも大きな違いはありませんよね。それが海外では、広告や商品のレコメンドのように、決済フォームを顧客ごとに出し分ける企業も多いです。そのほうが、購入率が上がるからです。
具体的には、顧客が過去の購入時に利用した端末の画面サイズに最適化するといった施策が考えられます。また、クレジットカードや電子決済、各国で人気の決済手段など、顧客が求める支払方法に合わせて、最適な入力項目をあらかじめ表示することも可能です。このように決済フォームを出し分けるだけで、購入率が7.9%向上した事例も報告されています。

──こうした決済体験の重要性について、日本でも理解が進んでほしいです。
元重 そのために、当社ではワークショップを積極的に行っています。「経営に関わる重要な要素である」と伝えていきたいです。
特に、日本では人手不足、それによるバックオフィス業務の負担増加といった課題が存在します。これらは、成長途中の企業、大手企業のどちらにも当てはまるものです。当社は、そんな課題を解決し生産性を上げるサポートをしたいと考えています。
実際、新規事業において当社の決済プラットフォームを導入している企業では、開発部門の業務効率が大きく改善されるとわかりました。チームが処理できる作業量で見ると、平均で59%も生産性が向上しています。これにより、本来1年かかるプロジェクトを、数ヵ月でローンチできたケースもあります。競争が激しい中、ターゲットとする市場にどれだけ早く事業展開できるかは、重要な点ではないでしょうか。今後は、こうした事業戦略もサポートできればと考えています。