SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

勝つD2C 注目ブランド大研究

「Her lip to」はCSにもファンがつく “顔が見えない”からこそ必要な伝え方の設計力

 元AKB48の小嶋陽菜氏が手がけるライフスタイルブランド「Her lip to」。立ち上げ以降、多くの女性たちの共感を集めてきた。その裏側で、静かにファンを増やしているのが同ブランドのカスタマーサポート(CS)チームだ。ときにコストセンターと見なされがちなこの領域に、なぜあえて力を注ぐのか。その理由を、運営元の株式会社heart relation UX室 CS G 兼 HR G カルチャー推進室 岡田真澄氏が明かした。

CS発足前に届いた顧客の声 対応の質を上げるきっかけに

──2018年の立ち上げ以降、多くの女性から支持を集めています。どのような想いでブランドを運営されているのですか。

岡田 「Her lip to」のテーマは「今着たい服」です。アパレルだけでなく、ランジェリーやビューティーなど多様な商品を取り揃えています。

 当ブランド最大の強みともいえるのが、こだわり抜いた世界観とそれが反映された商品です。商品開発や施策の判断基準は、どうすればお客様が感動してくださるのか、良い意味で驚いてくださるのか。全チームが全力でお客様と向き合っています。

 立ち上げ当初はEC販売のみでしたが、2022年に実店舗「House of Herme(ハウス オブ エルメ)」を、東京・表参道に出店しました。2025年2月には、愛知・名古屋に新たな直営店もオープンしています。また、実店舗の出店前から、定期的にポップアップショップを展開するなど、お客様とのリアルな交流も大切にしてきました。

株式会社heart relation UX室 CS G 兼 HR G カルチャー推進室 岡田真澄氏
株式会社heart relation UX室 CS G 兼 HR G カルチャー推進室 岡田真澄氏

──その中で、CS領域にとても力を入れていらっしゃいます。“コストセンター”と捉えられるケースも多いですが、どのような位置づけなのでしょうか。

岡田 非対面とはいえ、CSは重要な顧客接点です。単にお問い合わせに対応すれば良いわけではありません。“期待を超える体験の提供”が我々のミッションです。

 私は約5年前に入社しました。今でこそ社員数は90人ほどいますが、当時は10人にも満たないメンバーでブランドを運営していました。そのため、お問い合わせへの返信が遅れてしまい、厳しいご意見をいただいた経験もあります。

 リソースの拡充によって2020年にCSチームを発足してからは、スピードと質が改善されました。結果的に、今ではポジティブなご意見をいただくことが増えています。中には、長文で感謝の気持ちを送ってくださる方もいるほどです。日々、こうしたお客様の熱量を実感しています。

 最近では海外からのお問い合わせも徐々に増えてきました。以前は海外のECチームが対応していましたが、現在は私たちCSチームが直接ご返信しています。日本のお客様と同じように、心を込めた対応をお届けしたいからです。

 英語が堪能なメンバーがいるわけではないため、“人間らしさ”がきちんと伝わっているか不安に思うときもあります。それでも、お客様にとって価値のある対応とは何かを常に考えながら、できる限りのことをしたいのです。

──課題を解決する“以上”の価値を届ける。具体的には、どのようなコミュニケーションを取っているのですか。

岡田 当ブランドでは日曜日が新商品の発売日のため、土日にお問い合わせが増加する傾向があります。1週間に対応するお問い合わせ数は、平均で250〜350件ほどです。イベントが行われる際にはさらに増えます。それらに、マネジメントを行っている私を除いて5名体制で対応しなければなりません。

 お客様の注文や配送に関するお困りごとは、迅速に解決する必要があります。一方で、新商品のサイズ感やコーディネートの相談も多くいただきます。ここはパーソナルな対応が求められるため、特に時間をかけて丁寧にご返信したい部分です。そのため、CSチームの中からウェブ接客の担当者を選出し、専任部隊を作って対応しています。

 ウェブ接客の対応時には、あえて担当者の名前を出しています。専任スタッフとお客様との信頼関係を築けるからです。

──CSメンバーの“パーソナリティ”を出す、ということでしょうか。

岡田 そのとおりです。たとえば、CSメンバーが公式Instagramのライブ配信に登場することが増えました。CS部門は、お客様からすると普段顔を見られません。だからこそ、少しでもお客様に安心感を与えたいのです。

 お問い合わせ対応の中で担当者の名前を出している分、ライブ配信中に「○○さんだ!」とコメントしてくださる方もいます。現在はリアルイベントにもCSメンバーが参加しており、お客様とより深く交流できる場が増えました。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
メンバーの一声から始まった「CS社内報」 定性データから生まれた施策とは

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
勝つD2C 注目ブランド大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/16612 2025/06/16 07:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2025年6月12日(木)10:00~17:25

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング