Shopifyアプリ・外部システム連携で顧客交流を活発に Francfranc、江崎グリコ事例
2. Shopifyアプリを活用したパーソナライズ施策
Shopifyは、フルファネルサポートを実現すべくShopify App Ecosystemを形成し、「Shopifyアプリストア」を通じて1万以上のアプリを提供している。近年は日本産のアプリも増えており、自社の課題に合ったアプリを活用すれば、より細やかなパーソナライズの実現が可能だ。
外山氏は、日本産のアプリ活用の例として、LINE連携アプリ「CRM PLUS on LINE」を用いた「Francfranc」の取り組みを紹介した。
「同アプリはLINEのID連携促進に役立つ機能や、ID連携後のメッセージ配信機能を備えています。Francfrancでは、LINE連携によって会員登録のハードルを下げながら、顧客データに基づいたセグメント配信を実施し、セッション数を週平均21倍にまで増やしました。顧客の状況に応じたコミュニケーションの好例といえるでしょう」
3. 外部システム連携によるパーソナライズ施策
Shopifyでは、無制限のAPI連携環境を提供し、あらゆる外部システムとのつなぎ込みを可能としている。顧客情報や商品情報管理、マーケティング、定期購入、カスタマーサポートなどと絡めれば、より高度なパーソナライズも夢ではない。
たとえば、データマーケティングツール「b→dash」と連携すれば、顧客・受注データなど、Shopifyで集めたあらゆるデータをb→dash内で加工・統合し、メールやLINE、SNSなどの各種施策や分析に活用できる。
「最近増えているのは、『Shopify Plus』と自社共通ID基盤との連携施策です。共通ID化により、顧客は一つの会員IDで同一企業のプラットフォームを活用でき、ブランドにとっては適切な購買アクションの把握や精度の高いマーケティング活動が可能となります」
既に江崎グリコ株式会社、味の素株式会社、サッカーチームの「鹿島アントラーズ」などがこうした施策に取り組んでいるという。江崎グリコでは、同社が運営する各種サービスを共通IDで利用できる会員・認証基盤「グリコメンバーズ」を提供し、自社ECやファンコミュニティ、工場見学予約など、サイトやチャネルをまたいだ顧客行動の把握を進めている。
エンジニアリング主導でトレンド把握 Shopifyの強さはここにあり
セッションのまとめとして、外山氏はShopifyがエンジニアリング主導の企業であることを強調。Shopifyはグローバルで約8,000人の従業員を抱えているが、半数を上回る4,000人以上がエンジニアとしてコマースにフォーカスした業務を行っている。さらに外山氏は、Shopifyが2023年には年間2,000億円以上もの開発費を投じたことも明かした上で、最後にこう締めくくった。
「Shopifyで働くエンジニアは、マーケットのトレンドに合わせて、どのような機能がeコマースの世界に必要なのか、常に考えながら実装しています。『最小限のリソースで最大限の結果を得る』、そして『ブランドの成長に合わせて機能を拡張する』。Shopifyの一番の強みは、こうした最先端のテクノロジーや機能を取り入れられる環境が手に入る点にあるといえます」