基幹システムがレガシー化 OMO実現を目指し刷新を決意
「URBAN RESEARCH」や「KBF」など、複数のアパレルブランドを展開するアーバンリサーチ。全国にある実店舗と公式オンラインストアを中心に、商品を販売している。齊藤氏は、1997年に出店されたURBAN RESEARCHの1号店で販売スタッフを経験した後、同社に入社した。現在は、デジタル事業部の統括を担当している。
オンラインとオフライン、両方の販売チャネルをもつアーバンリサーチは、2023年10月に基幹システム刷新に向けたプロジェクトを開始した。齊藤氏は「商品マスタ・発注/仕入れ・在庫・入出荷・伝票の一元管理を可能にするのが、基幹システムの役割」と説明する。
基幹システムの刷新は、企業にとって大きな決断といえる。時間とコストがかかる上に、既存の業務オペレーションを変更しなければならない。それにもかかわらず、なぜ同社は基幹システムの刷新を進めるのだろうか。
「既存システムを導入した当時は、まだOMOという言葉が浸透していませんでした。しかし、今は実店舗とECサイトを連携したOMOの実現が求められています。『現時点でできること』と『やりたいこと』に乖離が生じていたため、システムそのものを新しくする必要がありました」
たとえば、アーバンリサーチでは、オンラインストア上で商品の取り置きや取り寄せサービスを利用できるものの、実際には実店舗の販売スタッフが手作業で処理を行っている。齊藤氏は「販売スタッフが、事務的な作業よりも接客に時間を使えるようにしたい。そのためには、実店舗・ECサイトにおける在庫ステータスの一元管理が不可欠だ」と話す。
「在庫ステータスの可視化が、お客様へのスムーズなサービス提供の鍵だと考えています。そこで、まずはスクラッチで改修を加えて、基幹システムを入れ替えた場合のシミュレーションを実施しました。テスト段階で、現状発生している機会損失などを削減できる手ごたえがあったため、本格的な導入を決定したのです」