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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

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大西理氏と振り返るEC業界25年史 顧客に求められるシステムとサービスはどう変わった?

タイパ時代だからこそ「顧客起点」の追求が差になる

──スマートフォンの普及がEC業界に与えた影響について、他にも顕著な例があれば教えてください。

村田 モバイル通信で大きなデータを扱えなかった時代は、パソコンサイトとスマートフォンサイトを別に作らなければなりませんでした。そのため、「フルスペックのパソコンサイトからどの機能をスマートフォンサイトに実装するか」という順でサイトの要件が決められていましたが、現在はレスポンシブデザインが基本です。また、パソコンとスマートフォンの利用比率が逆転したことから、スマートフォンサイトを軸にUI/UXを考える企業が年々増えていると感じています。

大西 スマートフォンの普及は、ECサイトの立ち位置の変化にも関係していると思います。オンラインを通じて自社のブランドや商品・サービスに触れる顧客が増えましたし、今はマイナスな情報がSNSですぐに拡散されてしまうため、事業にとって大きな損害となるトラブルが起きないよう、セキュリティー問題ときちんと向き合う企業も増えてきたように感じますが、村田さんはどうでしょうか。

村田 各社のセキュリティーに対する意識向上は、当社も感じ取っています。一定の水準以上のツール・サービスを採択するのは大前提としながらも、事業拡大にはマーケティング視点の「攻め」とセキュリティー視点の「守り」のバランスが重要なため、両立させるために「どこまでツールに任せるか」「どこを運用でカバーするか」といった議論が欠かせません

 たとえば、古い基幹システムを使った運用のまま最新のセキュリティー水準を保つのはどうしても無理が生じるため、場合によってはシステムを刷新して業務フローや働き方を変えるといった決断が必要になります。当社は、クライアント企業が優先したい事柄をしっかりとヒアリングした上で提案を行っていますが、上司や経営陣からいわれたことを実行するだけでなく、ECサイトや事業における優先順位や軸足が定まっていると、「正解」がより素早く見えてくるはずです。

BIPROGY株式会社 プロダクトサービス第二本部 OBDサービス一部長 村田一世氏
BIPROGY株式会社 プロダクトサービス第二本部 OBDサービス一部長 村田一世氏

大西 攻めも守りもどっちつかずで議論が進まない例を見ると、「ECサイトを作ることが目的になっていないだろうか」と感じることがあります。また、ECサイトを構築する上では競合調査も大切ですが、他社と比べすぎるのもよくありません。あくまで「自社の顧客にどんな体験をしてもらいたいか」という顧客起点の体験設計が大切です。

村田 わかりやすい例が、顧客情報の活用です。企業目線では購入時に会員登録をしてもらい、欲しい顧客情報を100%収集してレコメンドや今後の商品開発に役立てたいと考えがちですが、顧客目線で捉えると、初めて購入するECサイトで配送に必要な住所・氏名・電話番号以上の情報記入を求められると、購入のハードルが上がってしまいます。

 企業からすれば、不正購入防止の観点からも個人情報入力は求めたいステップですが、「手間なく購入したい」と考える顧客には購入の阻害要因となり、機会損失が起こり得るのも事実です。どちらもかなえるのは困難なので、顧客起点で考えながらも企業としてどこまで譲歩するのか、バランスを取る必要があります。

大西 現代は「タイパ時代」といわれてもいますが、そもそも顧客の時間は有限です。自身の生活を振り返っても、通勤中の電車の中や寝る前などの隙間時間に欲しいものを調べたり、購入したりしていないでしょうか。そんな中、「目を引いた商品を購入しようとしたら会員登録項目が何個もあった」となると、それだけで買い物意欲がそがれてしまいますよね。

 たとえば、初回購入時はスムーズに購入してもらうために必要最低限な情報だけに留め、後から情報を収集するのも一つの手です。気持ちよく購入でき、「またこのECサイトで買い物をしたい」と思ってもらえれば、自分に合った提案を受けるために情報を入力する顧客も増えるでしょう。企業としての効率のよさだけでなく、最終的に目指す情報が多く集まるような設計も欠かせません。

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デジタルもアナログも 「選べる」が最大のステータスに

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この記事の著者

夏野 久万(ナツノ クマ)

フリーライター。制作会社などで勤務後、独立。紙媒体をはじめ、企業のオウンドメディアやビジネス系、ライフスタイル系メディア、コラム、エッセイなども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:BIPROGY株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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