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プライム会員向けセールが増えるAmazon
今回、羽田野氏が最初に触れたのは、2023年7月11日~12日にかけて行われた「Amazonプライムデー」について。2023年は、会期が始まる前2日間(7月9日~10日)に「Amazonプライムデー先行セール」が行われていた。
「先行セールは、Amazonから権利を与えられた一部の店舗のみが参加できるものでしたが、このセールが呼び水となりプライムデーへの良い流れが作れていたように思います。当社が支援している店舗だと、特にホーム&キッチンやビューティーカテゴリーが好調でした」
本年のAmazonプライムデーはTVCMを打ったほか、日本では初めてポップアップ型のカフェ「Prime Day Cafe」を渋谷PARCOで開催するなど、Amazon自身も力を入れていた印象がある。同セールの認知が一般消費者層にまで高まりつつあるからこそ、さらなる拡大を目指すためのリアル/マス戦略が走っているとも考えられるだろう。そして、その勢いを失速させないようなホリデーシーズンまでの施策展開も、既に始まっている。
「本年は新たに、『Prime感謝祭』というセール・イベントが2023年10月14日~15日の2日間開催されました。これまで10月に大型のセール展開はなく、プライムデーが終わった後は『Amazonブラックフライデー』に向けた準備をするモードに各社入っていましたが、購買の波が変わるので、どんな数字が出てくるのか見ものです」
モールで売上を伸ばす秘策として、本連載で「各モールのセール施策には積極的に参加すべき」と繰り返し述べてきた羽田野氏。これはセールの回数が増えても変わらないという。
「モールを提供するプラットフォーマーは、ものの動きを活性化させるために様々なイベントや施策を展開しています。名の売れたブランドや指名検索をしてもらえるほどに競合優位性のある商品であれば話は別ですが、モールでしっかりと売上を作るには『Amazon特選タイムセール』などにも参加し、売上の山を意図的に作り上げる工夫が必須です。セールスケジュールを把握し、目玉商品を作るなどの仕込みをして売れる体制を整えましょう」
上手に活用したい「Amazonインフルエンサー・プログラム」
Amazonの機能面で注目すべきアップデートとして、羽田野氏は「Amazonインフルエンサー・プログラム」を紹介した。本プログラムは、日本では2023年7月に開始されている。
「米国ではおよそ2年前から実装されていましたが、ようやく日本にも上陸してきました。日本では『楽天のROOMのようなもの』とお伝えすると、イメージしてもらいやすいかと思います」
パブリッシャーやブロガーなどがコンテンツの収益化を実現できるプログラムとしては、既に「Amazonアソシエイト・プログラム」が存在するが、インフルエンサー・プログラムはインフルエンサー自身がAmazonのドメイン配下にストアフロントを構え、コンテンツを作成できるようになっている。
「Instagramのように写真つきの投稿をして、内容に関連する商品を紐づけたり、キュレーションサイトのようにおすすめ商品を一覧にしたページが作成できたりと、作れるコンテンツは多様です。インフルエンサーはコンテンツ経由で商品が購入された際に、定められた紹介料を受け取れるようになっています」
今後同プログラムを活用するインフルエンサーが増えるにつれ、コンテンツ内から突然の爆発的ヒットが生まれる可能性もあるだろう。ニッチな商品領域でも、タッグを組めるインフルエンサーを見つけておけば中小事業者も勝機をつかめるに違いない。商品PRの新たな手段として、ぜひウォッチしておくと良いだろう。