細かいPDCAで勝ちパターンを増やす!アプリ活用成功事例
次に神田氏は4つの事例を挙げ、顧客との関係を構築する「ハマるアプリ」の特徴を紹介した。
スムーズな導線設計で再購入率80%を実現した「キナリ」
自然派化粧品を販売する「キナリ」は、記事コンテンツを通じてブランドのこだわりや想いを発信しているが、ECサイト上では十分に伝えられていなかった。そこで、アプリを導入。縦横にスクロールし記事コンテンツが読みやすくなったことで、PV数が増加した。
元々40代の女性に人気だったキナリだが、子どものために記事コンテンツを通じて商品を調べ購入する顧客も増えている。アプリを通じてブランドの想いや商品の良さを伝えた上で、再購入しやすい導線を敷くことで、アプリ経由の再購入率80%という結果が得られた。
アプリリニューアルでEC売上145%となった「パレモ」
レディースファッションを扱う「パレモ」は2018年よりアプリを導入していたが、2022年にブランド横断型アプリにリニューアルした。スタッフコーディネートの充実化や視覚的にわかりやすいECサイトへの導線設計に注力しており、アプリリニューアル後のECサイト売上は145%、ECサイト売上の36%がアプリ経由となっている。直帰率も3%ほど低下したという。
60%が継続利用する「鹿島アントラーズ」のアプリ
「鹿島アントラーズ」は、既に多くのファンの支持を集めるJ1チームだ。SNSを通じて選手情報などを配信していたが、ファンコミュニティの拠点としてアプリを導入した。
鹿島アントラーズのアプリのコンセプトは、「一緒に育てる」。ファンのニーズをアプリで拾い上げ、コンテンツとして発信し、PDCAを回している。
中でも人気なのは、試合後の選手の声をアプリ上で聞けるコンテンツだ。これも、ファンの要望により作られた。コミュニケーションのハブを作り上げることで、ダウンロードしたファンの約60%が、アプリを継続利用している。
アプリ経由のEC売上が50%超の「tutuanna」
下着・靴下・ルームウェアなどを扱う「tutuanna」は、アプリ経由のEC売上が50%を超えている。アプリやクロス会員のLTVを強化する施策に取り組み、年間のLTV伸長率も110%を記録している。
以前は実店舗でポイントをためる機能がメインだったtutuannaのアプリだが、利用者数の伸びが鈍化したことで、リニューアルを実施。OMO施策の一環として、継続的にUI改善も行っている。
神田氏は「徹底的なベンチマークで勝てる施策をまずは知る。そして、知った施策をとにかく試して反応をみながら素早く改善していく。その結果、勝ちパターンを増やすことが重要なプロセス」と話す。
スクラッチ開発したアプリでUIを頻繁に変更する場合、ストアの審査が必要となるケースもあるが、Yappliは管理画面上でスムーズにアプリの再構築が可能。tutuannaでは、1日に2回~3回、アプリの画面を変更している。