アプリで築いた信頼関係が売上増加に効く
「Yappli」は、自社でアプリのリリース・運用・分析ができるノーコードのアプリプラットフォームだ。マーケターやEC担当者でも直感的に操作でき、スクラッチ開発と比較してリソースおよび導入コストの負担が少ない点が強みといえる。
神田氏はYappliの導入実績について「小売、コスメ、食品メーカー、飲食業界など、業界を問わず750以上のアプリを支援している」と紹介する。
「取引先へ共有する情報やカタログ、社員向けの教育コンテンツとしてYappliで自社アプリを制作されるメーカーが増えています。企業以外でも、学生に向けた教育コンテンツや生徒手帳の代わりとして利用されるケースもあります」
神田氏によると、コロナ禍においてeコマースのニーズが高まり、それに応じてアプリのセッション数も大幅に伸びたとのこと。2022年のアプリのセッション数は、2020年と比較して29%増加したというデータもある。それにより、顧客のリテラシーも向上。状況に応じてオンライン上のチャネルと実店舗を使い分けて買い物をするようになった。
顧客がeコマースでの購入を選択するとき、アプリ以外にもウェブサイト、SNSなど、様々なルートがある。アプリから購入する必要性はどこにあるだろうか。
神田氏は「初期の顧客接点として、ウェブサイトの他にSNSでの認知や出会いが増加。その中でアプリは、接点を持った顧客との長期的かつ深い関係の構築に活用されている」と違いを説明した。
一度接点を持った顧客に、アプリを通じて有益な情報をリアルタイムで通知する。その繰り返しで、顧客からの信頼が得られ、結果的に顧客ロイヤリティの向上、ひいては売上の増加につながる。実際、Yappliではアプリが売上の増加に貢献した実績も増えている。
「あるアパレル企業のLTVの比較データでは、アプリを通じて来店した顧客による売上が、ゲストユーザーの4倍近く増えた例もあります。昨今は『ファンマーケティング』という言葉を耳にする機会も増えましたが、ファンとの関係構築の重要性に注目が集まっています」