エプソンは2023年6月9日、同社がアベイルと進める「アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想」に、三陽商会が展開する「ECOALF（エコアルフ）」をブランドオーナーとして迎え、3社での共創活動を始めていると発表した。試作品レスと在庫レス、さらに印刷工程における水使用量を極小化した、持続可能なファッションの流通サイクルを目指すとのこと。
これにともない3社は、実証実験として、阪急うめだ本店でのSDGsポップアップ・イベント「GOOD VIBE FROM SEA」に出展。会場のECOALFブースでは、タブレット端末でバーチャルフィッティングをし実際に予約購入できる体験を提供する。
ファッション業界では、衣服の大量生産・大量消費・大量廃棄にともなう環境汚染、CO2排出、水資源の大量消費などが問題となっている。エプソンはこうしたファッション業界における社会課題に注目し、独自のプリント技術を活かした商品を展開。さらに、共創パートナーとの取り組みにより、新たな解決策を検討している。
アベイルの展開するBROWZWEARの「VStitcher」は、デジタルツイン技術を備え、3Dのデジタルデータを現実の生産ラインに反映することが可能。また、プリント柄を含めた3Dデジタルデータを2Dの型紙データに変換でき、プリントデータとして生地に直接オンデマンド印刷ができる。これにより、試作品の作成プロセスを短縮して、必要な数量のみの生産が可能になり、在庫を持たない販売を実現する。
また、エプソンのデジタル捺染機「Monna Lisa（モナリザ）」で顔料インクを使用すれば、アナログ捺染の染料インクを使用した印刷と比較して、水使用量を約96％削減できる。
エプソンは、本取り組みのビジネスオーナーとして、各社の連携を図る。企業間のデータ連携の技術的な検討やビジネスモデルの検討、アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想における国内企業の需要性調査を行いながら、ECOALFの商品展開を拡大していく。
また同社は、取り組みに賛同する商社や新たなブランドオーナー募集を実施し、アパレル3Dソリューション×無在庫ビジネス構想の市場認知を拡大。2023年度をビジネスモデルの検証期間とし、2024年度をめどに本格的に本ビジネスを進めていくとしている。
