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赤字幅縮小の楽天モバイル ECサービスとの相乗効果に期待
毎年恒例の「楽天新春カンファレンス」が、2025年1月末に行われた。2024年の動きと同カンファレンスの内容から、羽田野氏はまず楽天モバイルの成長に注目する。2024年度の楽天グループでは、モバイル事業の赤字幅が大幅に縮小。2024年12月期は、グループ全体の売上が5年ぶりに黒字に転換した。「この数年積み上げてきたものが形になり始めている」と羽田野氏はいう。
「楽天モバイルユーザーは、同グループの他サービスと併せて利用している割合が高いです。楽天市場との相性も良いといえます。通常の会員と比較すると、楽天モバイルユーザーのほうが、利用金額が約1.5倍というデータもあるほどです」
楽天グループは、サービス同士のシナジー創出に力を入れている。2024年12月には、グループ内のサービスから総額3億円相当の特典を付与する「楽天モバイル 最強感謝祭」を実施。成果も得られており、2025年も4回実施される予定だという。また、2025年3月4日20時から11日1時59分まで開催された「楽天スーパーSALE」では、楽天モバイルユーザー限定の先行セールが3月3日20時から4日19時59分にかけて行われた。
「このようなわかりやすい特典があるのは、顧客にとって魅力的でしょう。今後は、楽天モバイルユーザーとそうでない会員のエンゲージメントの違いなど、データ活用や分析、AIとの掛け合わせにまで発展すると予測できます」
こうした大きな変化とともに、細かな売り場のアップデートも引き続き行われている。その中で押さえておきたいのが定期購入機能の改善だ。2025年3月末に改修が実施され、ショップ・顧客の両視点で利便性が向上した。
「この数年は、アルゴリズムの関係から定期購入の商品が検索結果の上位に表示されづらいなど、訴求が難しい側面がありました。それが、今回のアップデートによって、顧客が定期購入を選びやすくなっています。たとえば、単品で購入する商品とかごが集約されるなどです。同じ画面上で単品か定期購入かを選べる仕様となりました。Amazonの場合は、定期購入が売上の半分以上を占めるケースも少なくありません。今回の機能改善により、楽天市場でも同様のショップが増えると考えられます」