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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECzine Day 2022 Winter レポート(AD)

AI×メタバース活用でOMO実現へ Third AI Retail Solutionが生む新顧客接点

 ECの発展とともに、さらなる価値創出を図るものとして期待されるOMO。しかし、実店舗運営には多くのリソースや負担がともなうのも事実だ。そこで注目されているのが、VRやAR、AI、アバター技術といった先進的なテクノロジーを駆使して生み出される、「ECと実店舗」「オンラインとオフライン」といった概念を超えた「新たな売り場・売りかた」だ。これらは、従来型の実店舗が持つ課題を解決するだけでなく、新しい働きかたを実現する可能性をも持っている。2022年12月1日開催の「ECzine Day 2022 Winter」にて、JTP株式会社 取締役 副社長​ 為田光昭氏が登壇。こうした売り場・売りかたの可能性やそれらを実現する方法について、「Third AI Retail Solution」が提供する施策とともに紹介した。

今あるAIを第三者視点から評価 JTPが提供する「THIRD AI」

 海外企業の日本市場参入をサポートするJTP。2017年より、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、LINEなどとパートナーシップを結んで新規事業を立ち上げ、最適なAIエンジンを採用し活用するAIソリューション「THIRD AI」の開発・提供を行っている。

「THIRD AIは、AIを作るのではなく今あるAIをうまく使うことをコンセプトとし、第三者としてAIを評価する点に特徴があります。企業・ブランドのビジネス戦略の中に組み込むことができる、つまり『手に届くAI』を提供し、インテグレーションしていくことを目的としています」(為田氏)

JTP株式会社 取締役 副社長​ 為田光昭氏

 すでに、さまざまな業界特化型のソリューションを提供するTHIRD AI。小売向けにはThird AI Retail Solutionを用意していると言う。

「当社が支援する企業・ブランドの多くは、OMO推進に取り組んでおり、実店舗とECを組み合わせたマーケティングを実施するケースが増えています。こうした取り組みにAIを活用すれば、新たな価値創出も夢ではありません」(為田氏)

 なお、JTPではこれまで、「LINEでクーポンを発行して実店舗へ送客する」といったO2Oの施策支援も行ってきたが、これらはあくまで一方通行のものだ。「双方向性を持たせてチャネルの融合を図るには、さまざまなチャネルで収集したデータ蓄積・分析を一元化し、あらゆるチャネルでOne to Oneマーケティングにつなげる必要がある」と為田氏は語る。

 しかし、理屈としては理解できても、企業・ブランドがOMOを実現するにはさまざまな課題が存在するのも実情だ。為田氏は、よくある課題として「実店舗とECのデータ統合ができていないこと」を挙げた。

「たとえば、実店舗とECで同一のJANコードを用いているにもかかわらず、商品名が異なっているなど、細かな差異がデータ統合の妨げとなります。こうした整理は欠かせません」(為田氏)

 続いて為田氏は、「各チャネルの棲み分けや他社との差別化」「実店舗でのデータ取得の難しさ」についても言及。

「たとえば、あるポイントサービスに加盟店登録をしている場合、データを購入すれば自社の顧客把握ができると考える方もいるでしょう。しかし、必ずしも登録情報が合致するとはかぎりません。また、外部データと自社データを突合して分析するにも、多大な労力を要します。独自ポイントの採択、マルチポイント化が進む中で、どのようにデータ統合を行うかといった課題も、視野に入れる必要があると言えるでしょう。

 また、コロナ禍でEC売上が伸びた一方で、実店舗の閉店・縮小を決めた企業やブランドも少なくありません。顧客がアフターコロナの実店舗に求める価値についても、考える必要があります」(為田氏)

 為田氏は「データ取得が容易にできるのはEC」としながらも、「実店舗でもスマートフォンアプリのダウンロード促進や実店舗・EC共通の会員カード施策などで、データ取得は実現できる」と補足。「魅力ある商品・サービスの提供や来店したくなる店舗作りは大前提として、顧客に新たな体験を提供することが大切」と強調した。

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実店舗・EC双方で使えるソリューションも 小売現場で活きるAI活用を考える

 「顧客に新たな体験を提供する」と言っても、具体的にどのようなソリューションを採択するのが良いのだろうか。為田氏はJTPが提供するソリューションの中から、企業・ブランドが近年よく用いているものを5つ紹介した。

1. AIカメラ

 近年、急速な性能向上とともに来場者数、人流状況、性別、年齢などといった属性情報の取得精度が高まっているAIカメラ。データ活用できるレベルにまで技術が成長しつつあるが、「『データ基盤との連携がスムーズにできるか』『AIエンジンとなるソフトウェアの更新が容易か』といった2点に着目して選定する必要がある」と補足する為田氏。

「精度についても、単一項目ではなく『掛け合わせてどうなるか』といった視点から比較する必要があります。たとえば、『性別』と『年代』の精度がそれぞれ80%であった場合、『性別×年代』で掛け合わせると精度は約65%にまで下がってしまいます。それぞれ90%以上の精度であることが望ましいと、当社は考えています。また、カメラの設置位置にも工夫が必要です」(為田氏)

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2. アバター接客

 大手コンビニチェーンが採用して話題になったアバター接客。人材不足が加速する中で、欠員補充のために導入されるケースがメインだが、専門知識が必要な接客を遠隔で行う活用法にも期待が高まっている。

「多くは実店舗で設置されていますが、EC上のチャットボットと連携し、よくある問い合わせ対応に用いられることも増えています。なお、実店舗でアバター接客を用いれば、これまで店舗で収集することが難しかった質問や問い合わせ内容のデータも蓄積しやすくなります」(為田氏)

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3. AIチャットボット

 アバター接客との連携にも注目が集まるAIチャットボット。現状、よくある質問などシンプルなEC接客・問い合わせ対応で活用されるケースがほとんどだが、複雑な問い合わせが寄せられた際には有人対応へシフトするなど、シームレスな使いかたも可能だ。

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4. AI画像認識

 競合との差別化を図る観点では、AI画像認識の活用も見逃せない。AI画像認識エンジンをゼロから作り上げる場合、多額の初期投資を要するが、近年はAPIを連携すれば利用できる安価で高性能なソリューションも増加傾向にある。こうした技術をECやLINE公式アカウント内に組み込めば、「SNSで見つけたかわいい商品画像をアップロードして類似検索」といった行動を促すことが可能だ。顧客が検索時に用いた画像データは蓄積できるため、商品詳細ページのブラッシュアップなどにも期待ができる。

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5. ARアプリ・VRストア

 スマートフォンアプリインストールのモチベーション喚起として役立つ、ARアプリの機能。たとえば、家具メーカーが実際に商品を部屋に置いた際のイメージをスマートフォンのカメラ越しに見せるなど、購入後のイメージ醸成ができる点に魅力があると言えるだろう。また、スペースに限りがある実店舗の拡張性を高める視点では、VRストアにも注目が集まる。

「実店舗に大きなサイネージを設置し、VRストアの入り口を作って仮想空間を体験してもらうといったソリューションも提供されています。その中でアバター接客を行うなど、アイディア次第で使いかたを広げることが可能です」(為田氏)

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  メタバースは、VRストアの延長線上と考えるとイメージがしやすいだろう。しかし、為田氏は「メタバースありきで実店舗作りを行うと、ブランディングが難しくなるため注意が必要」と続ける。

「まずは店舗とVRストアを作り込み、顧客に新たな売り場の可能性を体感してもらった上でメタバースに展開するのが望ましいと、当社は考えています。『メタバース内で店舗出店する』という体験そのものはおもしろいものと言えますが、データ活用やCVR向上など売上創出につなげるにはまだ実証段階であるのが実情です。焦らず一歩ずつ前進するのが良いでしょう」(為田氏)

 なお、VRストア作成を円滑に進めるソリューションはすでに提供されている。たとえば、AIを活用して二次元で作成された家の間取り図を読み取り、3D空間を作成。家具や家電のVR化も1点1万円程度からできるため、3D空間内に家具を配置したり、質感を体感したりといったサービス提供を実現できる。

「こうしたソリューションを活用すれば、マンションのモデルルームの内装や家具などの商品をVR空間にレイアウトし、トータル販売するといった取り組みも実現可能です。VRであれば、レイアウトした商品をまとめて決済することも容易ですし、色味などのバリエーションもその場で変更することができます。物理空間では実現しづらい体験を提供できる点に、ARアプリ・VRストアの魅力があると言えるでしょう」(為田氏)

新たな顧客体験創造に欠かせない「データの統合」

 為田氏は、ここで改めて「OMOは新しい購買体験を提供することが大きな目的」と強調。そのために「JTPではTHIRD AIソリューションの提供を強化する」と意気込みを語った。こうした新たな購買体験を実現する上で「データの統合」は欠かせない要素と言える。

「実店舗・ECの購買データや顧客データ、ポイントデータなど、既存資産を統合するのはインテグレーション領域となるため、AIソリューションだけで実現できるものではありません。むしろ、MAやCRM、CDPなどに『きれいなデータ』を渡すための前処理としてデータを統合する。こうした考えを持たなくてはなりません」(為田氏)

 AIソリューションの活用については、「ファーストパーティデータをいかに増やせるか」「セカンドパーティデータ、サードパーティデータと組み合わせて、どうやってシームレスにマーケティングにつなげるか」といった点も課題となる。為田氏は、「JTPでは、豊富な知見と経験を活かしたデータの統合に加え、その後の実務に活かせるAIソリューションの提供まで、トータルでサポートを行っている」と語った上で、「データの統合のみ、AIソリューション導入のみといったサポートも可能」と補足した。

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 最後に為田氏は、新たな顧客体験の提供を目指す企業・ブランドに向け、注意すべき点を次のように語り、セッションを締めくくった。

「顧客接点の強化とOMOに取り組む上で、AIソリューション活用は欠かせません。また、これらを用いて取得したデータを、MAなど継続的な顧客交流に用いる視点も重要です。実店舗、ECとチャネルを分けることなく、トータルで顧客に求められる環境を実現するには何をすべきか。当社ではコンサルティング企業と連携し、これからの小売に求められる環境構築をトータルで手掛けることも可能です。興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください」(為田氏)

 OMO推進を支援するThird AI Retail Solutionにご興味をお持ちいただけましたら、お問い合わせページよりご連絡ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://eczine.jp/article/detail/12177 2023/01/17 11:00

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