デジタル活用で事業をステップアップ オンオフの体験をつなぎ顧客接点増強へ
自社ECリニューアルにより、顧客体験の向上と社内オペレーションの円滑化、顧客データの可視化を実現した八代目儀兵衛。前出のように今後はCRMにも注力する予定としているが、神徳さんは「顧客にさまざまなシチュエーションで当社のお米を活用してほしいと考えている」と言う。
「ギフトECは、購入する顧客と実際に商品を手にする顧客が異なる点に大きな特徴があります。当社に限らず、『2回め以降の購入率をどう上げるか』は各社課題として取り組んでいると思いますが、ライフイベントごとのギフトを贈る機会にいかにアプローチできるか、そしてギフトを購入しながらも実際に商品を手に取ったことがない顧客に、どうやって八代目儀兵衛のお米を体験してもらうか。こうした機会創出が今後の鍵になるととらえています。
また、結婚、出産、法事・弔事以外にもたとえば新築祝い、快気祝いなど開拓できるギフト需要はまだまだ存在します。一見するとニッチなところもカバーし、今後はよりさまざまなギフトのご要望に応えていくことを目指していきたいです」
さらに神徳さんは、ギフトEC以外に自宅向けや業務用卸、八代目儀兵衛の米を使った料亭とさまざまなチャネルを展開する同社の特徴を活かし、「顧客接点の増強にチャレンジしたい」と続ける。
「たとえば、ECで購入した顧客に対して自宅向けのお米購入時や料亭で使えるクーポンを配布する、もしくは料亭を利用してくださった顧客にECで使えるクーポンを配布するなど、八代目儀兵衛のブランド全体で利用頻度を上げる取り組みができるのではないかと考えています。オンラインとオフラインの体験をつなげる上で、『aishipGIFT』のクーポン機能も有効活用していきたいです」
直近の八代目儀兵衛は飲食店などへ米を卸すだけでなく、「大手企業から米に関する商品のおいしさ改善やプロデュース、コンサルティングの依頼なども増えた」と語る神徳さん。サプライチェーンを通さずにバリューを提供する取り組みが増えるにつれ、「ソリューションとして提供できる幅を広げる必要性がある」という考えに行き着いた八代目儀兵衛の今後の展望について、神徳さんはこう語る。
「お米の価値をより多くの方にしっかりと広げながらも、事業をさらにステップアップさせるには、八代目儀兵衛とクライアント企業の2社だけで取り組みを進めるのではなく、顧客とのタッチポイントを生み出すことが欠かせないと考えています。
たとえば、当社がプロデュースやコンサルティングを手掛ける飲食店やメーカーを一覧化し、クーポンなどを配布して八代目儀兵衛のお米を支持する顧客が外食や商品購入する際の選択肢を増やす、該当する企業や実店舗の商品をECで販売するといったことができれば、かかわるすべての人々にメリットを創出することが可能です。時間はかかるかもしれませんが、自社ECの売上を拡大しながらもデジタルを使い、新たな出会いの場を生み出していけたらと思います」