ギフトを受け取った顧客へのCRMやBtoB需要にも応用可 ソーシャルギフト(eギフト)の可能性
なお「aishipGIFT」では、2022年5月に自社EC内で追加の機能開発なしにソーシャルギフト(eギフト)への対応を実現できる「ソーシャルギフト機能」をリリースしている。同機能を用いると、顧客が普段愛用する自社ECから住所を知らない友人や知人に容易にギフトを贈呈できる環境を作ることが可能だ。また、事業者にとっても顧客体験やLTVの向上、ギフト需要拡大による売上増が見込めるばかりでなく、これまでソーシャルギフト(eギフト)の主戦場となっていたモール出店時の「顧客情報を入手できない」という課題をクリアすることができる。つまりソーシャルギフト(eギフト)は顧客・事業者双方にwin-winとなる可能性を秘めた存在であると言えよう。
神徳さんも近年のソーシャルギフト(eギフト)需要には注目しており、八代目儀兵衛なりの活用法を模索しているところだと説明する。あくまで案のひとつではあるが、このように構想を語った。
「当社には、ノベルティや福利厚生としてお米ギフトを活用したいといったご相談が頻繁に寄せられます。こうしたBtoB需要に『ソーシャルギフト機能』を活用できるのではないかと考えているところです。従来は依頼をいただいた企業の方から送付リストをいただき、当社が転記して送付手続を行っていましたが、個人情報受け渡しの問題もある上、ギフトを受け取る相手が必ずしも企業が把握する住所への送付を希望しているとは限りません。ソーシャルギフト(eギフト)という形で企業が社員に権利を付与し、好きなタイミングで好きな場所に各々が送付依頼できるようになれば、喜んでいただける方がより増えるのではないでしょうか」
また、「ソーシャルギフト(eギフト)を受け取る相手が任意で個人情報を提供する」という点を活かし、従来のギフトECでは実現が難しかった継続的な顧客接点創出にも着目していると神徳さんは続ける。
「自社ECで同機能を実装するメリットは、もちろん許諾を得た上ではありますが、ソーシャルギフト(eギフト)を受け取った方に向けても、今後プロモーションを展開できる可能性がある点だと私は考えています。たとえば、送付先登録欄にニュースレター登録のチェック項目を設ければ、希望する方に向けて後日メルマガ配信やCRMを実施することができます。
ギフトECはひとりの顧客が複数人に送付するケースが多いため、ブランドや商品の利用(体験)人数自体を増やすことは比較的容易でした。しかし、ギフト送付先にはプロモーションを実施できないため、せっかく生まれた顧客接点を活かしきれないもどかしさがあったのも事実です。ソーシャルギフト(eギフト)はこうしたハードルを乗り越えることができる。そんな可能性を感じています」
サードパーティCookieの規制など、個人情報の収集・活用が困難を極める昨今。これからは自社EC起点でデータを収集できるチャンスを逃さず、いかに有効活用していくかが事業者の明暗を分けると言っても過言ではない。ソーシャルギフト(eギフト)は、既存顧客の力を借りながら、新たな顧客との出会いを輪のように広げることができるだけでなく、いつでもどこでもつながることができるデジタルの利点を活かしながらブランド力を高めるポテンシャルに満ちたアプローチ方法のひとつと言えよう。自社で扱う商材や顧客の特性、需要を鑑みつつ、BtoB、BtoC双方の視点から商材開拓を試みてはいかがだろうか。