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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

季刊ECzine vol.18特集「Cross over, Enthuse fans!~店舗、スタッフ、EC&デジタル活用の次なる一手~」

おもてなし力に利便性と迅速性を追加 「EC×店舗」でAOKIが目指すぬくもりが伝わる購買体験

 店舗スタッフの多彩な能力をデジタルで引き出し、顧客価値を高める‶良い接客”に活かす。 ※本記事は、2021年9月24日刊行の『季刊ECzine vol.18』に掲載したものです。

 メンズ・レディースのビジネスウェアからカジュアル、フォーマルまで多彩な品揃えを誇る株式会社AOKI。コロナ禍による来店顧客の減少や、在宅勤務の増加にともなうスーツ需要の低下など、逆境においても積極的なデジタル施策を展開し、新たな発見と成果を見出しつつある。近年の挑戦と得られた成果、店舗スタッフの意識の変化などについて、ネット通販事業部 デジタルマーケティング責任者 執行役員の林亮介さんに話を聞いた。

株式会社AOKI ネット通販事業部 デジタルマーケティング責任者 執行役員 林亮介さん

コロナ禍以前から新たな接客チャネルを創出

 AOKIでは、働きかたやライフスタイルの多様化に対応するため、コロナ禍以前からさまざまな施策に取り組んできた。林さんが責任者を務めるネット通販事業部は、こうした変革の中心的存在だ。

「従来、EC運営とデジタルマーケティングを行う組織は別々に存在していたのですが、全社的にデジタル強化を進めるにあたり、機能を統合したほうがより大きな成果につながるのではないかという話になりました。そこで、販売促進部からデジタルマーケティングの部門を移管し、2019年に現在のネット通販事業部が発足しています」

 同社は新体制の下、積極的にデジタル活用を推進。挑戦を重ねる中で奇しくもコロナ禍に入り、世の中全体のデジタル化・EC化が後押しする形でこれまで4つの施策に着手していると言う。ひとつめは、スタッフによるコーディネートと着こなしを自社EC上で紹介する「スタッフスナップ」だ。同施策は2019年12月にORIHICAにて先行実施し、顧客の反響を踏まえて2020年5月にAOKIにも導入。「日本全国に店舗を有し、ORIHICAと比べると顧客 の年齢層も上がるAOKIで効果が出るのか」と林さんも半信半疑だったが、思わぬ評価を得ることができたと説明する。

「スタッフスナップは、バニッシュ・スタンダードの『STAFF START』を活用したサービスですが、セレクトブランドや若年層向けのブランドを中心に広がっている仕組みをAOKIに入れて効果が出るのか、不安に感じる部分もあったのが正直なところです。しかし、お客様はもちろんのこと、店舗スタッフにも評判が良く、投稿から1ヵ月あたり100~200万円の売上を作る人気スタッフも生まれています。40代、50代のお客様から『同年代のコーディネートをもっと見せてほしい』とリクエストをいただいたり、投稿を見て実際に店舗に来店し、スタッフ指名で相談されたりといったケースもあるほどです。店舗スタッフの新たな活躍の場として定着しつつあります」

 ふたつめは、ORIHICAで実施している「チャット接客」である。2020年10月のサービス開始当初は店舗が比較的混雑しない日中のみの対応であったが、予想以上の反響を踏まえて現在は時間を拡大。曜日によっては、21時まで対応している状況だ。週平均で50~60件程度、繁忙期には100件以上の問い合わせが寄せられていると言う。

「最初はEC利用に慣れていない方への購入サポートを想定していましたが、新入学・新入社シーズンには初めてスーツを購入する方からのご相談が目立ちました。チャットでのアドバイスを踏まえて親御さんと相談し、来店されるという新たな導線が生まれ、売上に貢献している手応えも感じています。今秋にはAOKIにも導入予定です」

 3つめの挑戦は、Instagramを活用した「ライブ配信」だ。ORIHICAで2021年3月に実施し、反響を踏まえて同年6月にはAOKIでも開催。こちらも店舗スタッフの新たな活躍の場として機能する手応えを感じていると林さんは語る。

「とくにORIHICAでは、『私もライブ配信に出演したい』と店舗スタッフの自発的な姿勢が見られます。AOKIではまだテストとして1回開催したのみですが、レディース商品に対する質問が多く寄せられ、プラットフォームにいるお客様の特性、需要の違いを肌で感じました」

 最後に紹介するのは、現在トライアルを重ねている「リモート接客」だ。店舗と顧客をビデオ通話でつなぎ、自社ECの閲覧やチャットでは難しいニュアンスのやり取りや、商品の実物を見せながらのコーディネート相談などを提供している。

「こちらは2021年3月にORIHICAでテストを開始し、現在進行系で検証を重ねているところです。お客様の反応や需要を踏まえて今後の方向性を判断する予定となっています」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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