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季刊ECzine vol.02 特集

町工場のネットありき新商品開発 「世界最高の鍋」バーミキュラと買った後の楽しみも届ける


 名古屋の老舗町工場がつくった「世界最高の鍋」として、メディアの注目を集めるバーミキュラ。ソーシャルメディアでもレシピなどのコンテンツがシェアされているのを目にする。 職人に誇りを取り戻してもらうための新商品は、ネットを活用した正直マーケティングありきの戦略だった(※本記事は、2017年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.02』に掲載したものです)。

愛知ドビー株式会社 代表取締役副社長 土方智晴さん
愛知ドビー株式会社 代表取締役副社長 土方智晴さん

 名古屋の老舗町工場がつくった「世界最高の鍋」が、絶大な支持を集めている。販売元の愛知ドビーは、もともと鋳造と精密加工を得意とする産業機械部品の製造会社だった。2010年に「バーミキュラ」のブランド名で鋳物ホーロー鍋の販売をはじめると、瞬く間にヒット商品となり、一時は15ヵ月待ちとなるほど注文が殺到。生産量が増えた現在でも、数ヵ月待ちを要するほどの人気ぶりだ。2016年12月には「世界一、おいしいお米が炊ける炊飯器」バーミキュラ ライスポットを発売し、究極の炊飯器としてメディア等でも話題になっている。同社副社長 土方智晴さんに話を聞いた。

町工場がつくる「世界最高の鍋」バーミキュラ

 愛知ドビーが作った鍋「バーミキュラ」の人気の理由は、なんといっても製品のクオリティの高さにある。鋳物ホーロー鍋は世界的に人気だが、バーミキュラのように0.01mmの精度にこだわった高い気密性のものはほかにないそうだ。職人の熟練の技と手間暇を惜しみなく投入することで、素材本来の味を最大限に引き出す無水調理を可能にしているのだ。料理が格段においしくなるバーミキュラの鍋は、一般のユーザーはもちろん、料理研究家や一流レストランのシェフからも高い評価を得ている。

 工業部品の下請けをしていた町工場が、オリジナルの鍋をつくってヒットさせるにいたったストーリーもユニークだ。1936年に創業した愛知ドビーは、かつて「ドビー機」という繊維機械のメーカーとして発展したが、繊維産業の衰退とともに事業を縮小し、下請け工場として存続していた。厳しい経営状況のなか、三代目の土方邦裕さんが家業を継いだのが2001年のこと。その5年後には、邦裕さんの弟で現副社長の智晴さんが、兄の直談判を受けて自動車メーカーを退職し入社する。

 土方兄弟による経営体制のもと、下請け工場としては軌道に乗った愛知ドビーだが、智晴さんは職人たちの表情がどこか冴えないのが気になっていた。かつてメーカーとして、世界に通用する製品をつくってきた職人たちの誇りをもう一度取り戻すため、新しい事業が必要だと感じたと言う。思案を重ねるなかで、愛知ドビーの強みである「鋳造」と「精密加工」の技術を活かせる鋳物ホーロー鍋にたどり着き、より密閉性を高めた「世界最高の鍋」をつくるための開発をスタート。日本では実績がない鋳物へのホーロー加工などに苦戦しながら、実に3年もの歳月をかけてバーミキュラが完成することとなった。

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

ECZine編集部です。ネットショップ運営に役立つ情報をお届けします。

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松岡 亜希(マツオカ アキ)

フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。● http://pubapart.com/

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