経済産業省は、「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態などについて調査し取りまとめた。
調査結果の概要は、次のとおり。
国内電子商取引市場規模(BtoCおよびBtoB)
令和元年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円(前年18.0兆円、前年比7.65%増)に拡大。また、令和元年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は353.0兆円(前年344.2兆円、前年比2.5%増)に拡大している。
また、EC化率は、BtoC-ECで6.76%(前年比0.54ポイント増)、BtoB-ECで31.7%(前年比1.5ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展している。
日本のBtoC-EC市場規模の推移(単位:億円)
また、BtoC-EC市場規模を分野別にみると、次の表のとおりとなった。
BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率
2018年 | 2019年 | 伸び率 | |
---|---|---|---|
A.物販系分野 |
9兆2,992億円 (EC化率 6.22%) |
10兆515億円 (EC化率 6.76%) |
8.09% |
B.サービス系分野 | 6兆6,471億円 | 7兆1,672億円 | 7.82% |
C.デジタル系分野 | 2兆382億円 | 2兆1,422億円 | 5.11% |
総計 | 17兆9,845億円 | 19兆3,609億円 | 7.65% |
A.物販系分野
物販系分野の市場規模の内訳をみると、「衣類・服装雑貨など」(1兆9,100億円)、「食品、飲料、酒類」(1兆8,233億円)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」(1兆8,239億円)が大きな割合を占めている。
また、EC化率については、「事務用品、文房具」(41.75%)、「書籍、映像・音楽ソフト」(34.18%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」(32.75%)において高い値となっていた。
物販系分野のBtoC-EC市場規模
分類 | 2018年 | 2019年 | |||
---|---|---|---|---|---|
市場規模 (億円) |
EC化率 (%) |
市場規模 (億円) ※下段:昨年比 |
EC化率 (%) |
||
① | 食品、飲料、酒類 |
16,919 (8.60%) |
2.64% |
18,233 (7.77%) |
2.89% |
② | 生活家電、AV機器、PC・周辺機器など |
16,467 (7.40%) |
32.28% |
18,239 (10.76%) |
32.75% |
③ | 書籍、映像・音楽ソフト |
12,070 (8.39%) |
30.80% |
13,015 (7.83%) |
34.18% |
④ | 化粧品、医薬品 |
6,136 (8.21%) |
5.80% |
6,611 (7.75%) |
6.00% |
⑤ | 生活雑貨、家具、インテリア |
16,083 (8.55%) |
22.51% |
17,428 (8.36%) |
23.32% |
⑥ | 衣類・服装雑貨など |
17,728 (7.74%) |
12.96% |
19,100 (7.74%) |
13.87% |
⑦ | 自動車、自動二輪車、パーツなど |
2,348 (7.16%) |
2.76% |
2,396 (2.04%) |
2.88% |
⑧ | 事務用品、文房具 |
2,203 (7.57%) |
40.79% |
2,264 (2.76%) |
41.75% |
⑨ | その他 |
3,038 (9.31%) |
0.85% |
3,228 (6.26%) |
0.92% |
合計 |
92,992 (8.12%) |
6.22% |
10,051 (8.09%) |
6.76% |
B.サービス系分野
サービス系分野の市場規模の内訳をみると、「旅行サービス」(3兆8,971億円)が大きな割合を占めている。
サービス系分野のBtoC-EC市場規模
分類 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|
市場規模 (億円) |
市場規模 (億円) ※下段:昨年比 |
||
① | 旅行サービス |
37,186 (10.27%) |
38,971 (4.80%) |
② | 飲食サービス |
6,375 (41.61%) |
7,290 (14.34%) |
③ | チケット販売 |
4,887 (6.34%) |
5,583 (14.25%) |
④ | 金融サービス |
6,025 (▲0.79%) |
5,911 (▲1.90%) |
⑤ | 理美容サービス |
4,928 (17.67%) |
6,212 (26.06%) |
⑥ | その他 (医療、保険、住居関連、教育など) |
7,070 (9.00%) |
7,706 (9.00%) |
合計 |
66,471 (11.59%) |
71,672 (7.82%) |
C.デジタル系分野
デジタル系分野の市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」(1兆3,914億円)が大きな割合を占めていた。
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
分類 | 2018年 | 2019年 | |
---|---|---|---|
市場規模 (億円) |
市場規模 (億円) ※下段:昨年比 |
||
① | 電子出版(電子書籍・電子雑誌) |
2,783 (7.57%) |
3,355 (20.58%) |
② | 有料音楽配信 |
645 (12.51%) |
706 (9.56%) |
③ | 有料動画配信 |
1,477 (12.00%) |
2,404 (62.76%) |
④ | オンラインゲーム |
14,494 (3.00%) |
13,914 (▲4.00%) |
⑤ | その他 |
984 (6.00%) |
1,043 (6.00%) |
合計 |
20,382 (4.64%) |
21,012 (3.09%) |
国内電子商取引市場規模(CtoC)
近年、ECチャネルのひとつとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、平成28年から、CtoC-EC市場規模推計を実施している。
令和元年のCtoC-ECの市場規模は1兆7,407億円(前年比9.5%増)と推計されている。
CtoC-EC推定市場規模(単位:億円)
2018年 | 2019年 | 伸び率 | |
---|---|---|---|
CtoC-EC | 1兆5,891億円 | 1兆7,407億円 | 9.5% |
日本・米国・中国の3ヵ国間における越境電子商取引の市場規模
令和元年において、日本・米国・中国の3ヵ国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加した。なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆6,558億円(前年比7.9%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆94億円(前年比16.3%増)であり、昨年に引き続き増加している。
日本・米国・中国3ヵ国の越境EC市場規模
国 | 越境EC購入額 | 伸び率 |
---|---|---|
日本 | 3,175億円 | 14.8% |
米国 | 1兆5,570億円 | 11.8% |
中国 | 3兆6,652億円 | 12.3% |
なお、同調査におけるEC化率とは、すべての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指すとのこと。EC化率の算出対象は、BtoC-ECにおいては物販系分野とし、BtoB-ECにおいては業種分類上「その他」以外とされた業種としている。