セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は、富士通がSalesforceのカスタマーサービス向け生成AI(Einstein for Service)の採用を決定したと発表した。富士通はEinstein for Serviceを活用することで、コンタクトセンターの効率化と高度化を図り、顧客体験のさらなる向上を目指す。
今回、富士通が検証したEinstein for Serviceの機能は次のとおり。Salesforceは、これらの機能をアメリカで先行提供しており、2023年12月15日に日本国内でも一般提供を開始した。
- サービス返信(Service Replies):顧客からのチャットでの問い合わせに関する返信内容の推奨案を、データやナレッジベースに基づきAIが自動生成する。
- 会話サマリー(Conversation Summaries):カスタマーサービスにおけるオペレーターと顧客の会話内容の要約を、AIが生成する。
富士通は社会課題解決を起点として、クロスインダストリーで企業のビジネス成長とサステナビリティ・トランスフォーメーションの実現を目指すデジタルサービスを提供している。同社のグローバルビジネスアプリケーション事業本部では、顧客窓口のひとつであるSalesforceサポートデスクにて顧客体験のさらなる向上を目指している。
その取り組みの一環として、2023年8月よりEinstein for Serviceが先行リリースされていた北米インスタンスで環境を準備し、富士通およびFujitsu North America, Inc.にて、SalesforceのEinstein for Serviceにおける日本の同サポートデスクでの運用を想定した機能検証をおこなってきたという。
検証の結果、サービス返信によりサポートデスクのオペレーターの平均処理時間(Average Handling Time:AHT)は89%削減。また会話サマリーにより平均後処理時間(After Call Work:ACW)は86%の削減効果が得られた。
これを踏まえ、富士通はさらに日本語環境での実検証に取り組みを推進。2023年12月にSalesforce Service Cloudの生成AI機能が国内で一般提供開始されたあと、即座に採用を決定し、日本語環境での検証を開始。英語での検証結果に近い導入効果を目指している。本格運用は2024年度前半を計画している。
同社では、コンタクトセンターでの生成AI活用に向け、運用ポイントの整理を実施。これらの作業の継続により、生成AIの作成する回答やサマリーの精度向上が見込めるとしている。
- 過去の質問や回答をナレッジとして残し、それらを顧客からの問い合わせ返信内容の推奨案として生成する際に、グラウンディングとして活用する。
- チャット対応するオペレーターが一問一答に誘導し、AIが正しい回答を生成しやすくする。
- 会話内容の要約生成に関しては、内容が正しいかどうかを人の目で必ずチェックし、修正・加筆する。
Salesforceは、Customer 360を構成するCRM製品での生成AI機能を順次国内で提供開始する予定で、顧客企業への支援を継続していく考え。