Shopifyの日本法人Shopify Japanは、ShopifyがIT専門調査会社であるInternational Data Corporation(IDC)の協力を得て、米国を中心に、UK、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本にある1,000社のエンタープライズ企業を対象に「簡素化された業務の未来(原題:”The Future of Simplified Business Operations”)」について調査をおこなったと発表した。
近年、コマース業界の変化は激しく、エンタープライズ企業はそのスピードについていくために模索している状況にある。そして、その取り組みのために利用するソフトウェアが非常に扱いにくいものが多いという大きな課題に直面している。こうした実態を把握するために、Shopifyは同調査を実施したという。詳細は次のとおり。
変化に対応するためのコマースプラットフォーム刷新の壁
同調査では、多くの企業が変化に対応するために、コマースプラットフォームの刷新を検討していることが明らかとなった。
- 67%のエンタープライズ企業が、3年以内にコマースプラットフォームの刷新を検討だけしていると回答、一方でほぼ同数となる(61%)もの企業が新しいテクノロジーを導入するにはコスト面で厳しいと回答
- 94%の企業が、最適なタイミングでの導入が重要と回答
- 67%の企業が、コマースプラットフォームを評価するうえで重要視することとして「使いやすさ」と回答
昨今、機能やモジュールを自由に組み合わせることができるソリューションが渇望されてきた。これらは非常に高い柔軟性に加え、思い描く通りにシステムをカスタマイズできる魅力がある一方で、不要な複雑化の可能性も存在する。
カスタムでシステム構築を始めて数期目になる多くの企業からは、予算の超過や終わりの目処がつかない課題が寄せられており、数ある可動機能を調整して操作すること、特に異なるソフトウェアベンダーのシステムを組み合わせるのは至難の業であると同調査では述べられている。
エンタープライズ企業にとって最適化のポイントはオプショナリティ
今回の調査対象となった企業によると、エンタープライズ企業向けのSaaSで求められることは、次のとおり。
- 27%が完全にヘッドレスでモジュール化されており、異なるベンダーが提供するモジュールやアプリを組み合わせて利用
- 29%がフルスタックのプラットフォームで、オールインワン(統合パッケージ)ソリューションを導入
- 45%がフロントエンドはコンポーザブル(必要な機能や部品を自由に組み合わせ可能)、バックエンドはフルスタックで組み合わせた(“ブレンド”した)ものを利用
調査の結果、多くの企業が求めるのは最後の”ブレンドモデル”であることがわかっている。システム構築の技術者の手腕に頼りすぎることなく、市場投入までのスピードを速めながら、より優れた顧客体験の実現と高い費用対効果を狙えるシステム構築を実現できる点が評価されているといえる。
調査の中でも、とりわけ費用対効果の条件は必須で、91%のエンタープライズ企業がヘッドレスやハイブリッド、フルスタック、いずれのシステムに変える際でも、総保有コスト(TCO)を抑えることが必須であると回答している。
Shopifyでは、こうした調査結果も踏まえ、エコシステムに参加するパートナーに向けて様々な機能を提供。Google Cloud MarketplaceでのShopify利用の実現や、サプライチェーン・コマース企業のManhattanとの連携による注文処理業務の合理化、エンタープライズコマースの運営とマーケットプレイスでの販売の両立をかなえるMiracl、Slaromとのパートナーシップ締結などを実施している。
なお、今回の調査ではエンタープライズ企業の課題として「デジタルスキル不足(38%)」「(利用している)テクノロジーが拡張性に乏しいこと(31%)」が挙がり、ビジネスの成長に合わせてスケールできるプラットフォームを求めているインサイトも共有された。